簡易版 倍率変更
part1〜2で改造の方法を説明しましたが、手軽とは言えません。
そこで、パターンカットなし、熱線補修材1本で、比較的簡単にできる改造を考えてみました。
起動倍率の変更ができないFSB100ベースマザーのリサイクル用に、Athlon1G(10x)はいいかもしれません。
FSB133ベースのマザーでは、さらにAthlon1.33G(10x)、Athlon1.4G(10.5x)もこの方法を使うことができます。
FID、BP_FIDピンで、IDが論理1になっているピンを0にする変更は、ブリッジやパターンをカットをしなくても可能です。
Athlon1G(FSB100*10x)のID は1110で、1.05G(10.5x)のIDは1111ですから、これらは起動倍率を変えることが容易にできます。
しかし、この他の定格倍率のものは、ブリッジによるデフォルト倍率の変更が必要です。
Athlon1.4G (FSB133*10.5x) Athlon1.33G (FSB133*10x) Athlon1.0G (FSB100*10x) 限定、倍率変更 STEP 1
倍率10x、10.5xの製品に限りますが、FID、BP_FID ピンをこのようにVss(0V)に接続すると、その組み合わせで下のように倍率が設定可能です。
倍率やCPU をあまり変えないのであれば、これで十分かもしれません。
これはマザーボード裏から見たときのSocketA のピンです。
濃いグレーの丸が各IDピンを示し、黒の部分が 接続する場所です。
ブルーの丸はVss(0v)ですが、2個のうち近いほうに接続します。
Athlon1.4G (FSB133*10.5x) Athlon1.33G (FSB133*10x) Athlon1.0G (FSB100*10x) 限定、倍率変更 STEP 2
STEP 1のように固定では、何度か倍率を変更する場合不便なので、ジャンパSWをつける方法です。
このときID[0]のジャンパはAthlon1.4G (FSB133*10.5x)のみ有効で、10xのCPUは無効ですから、つけなくてもかまいません。
倍率は右の設定表でCの部分をクローズします。
設定可能なのは1x単位の青の部分です
Athlon1.33G (FSB133*10x) Athlon1.0G (FSB100*10x) 限定、倍率変更 STEP 3
10xのCPUで、さらにID[0]のジャンパを有効にするには、ブリッジ加工が必要です。
L6を1箇所カット、L3は1箇所カットして1箇所クローズし、デフォルト10.5xにします。
これでID[0]のジャンパが有効となり、すべての倍率設定が可能となります。
そのほかの定格のCPU場合、STEP 1〜2の改造で使えるようにするには、次のようにブリッジ加工が必要です。
Duron/Athlon 600、700、800、900 (FSB100製品)
次のブリッジを加工して10xのブリッジと同じにします。
500 : FID[3], BP_FID[3] 及び FID[1], BP_FID[1] *
600 : FID[3], BP_FID[3]
700 : FID[2], BP_FID[2] 及び FID[1], BP_FID[1]
800 : FID[2], BP_FID[2]
900 : FID[1], BP_FID[1]
1000: ブリッジ加工不要
10xにした場合1x単位の倍率変更が可能となります。
さらにFID[0], BP_FID[0]を加工すれば10.5xになりすべての倍率変更が可能です。
Duron/Athlon 650、750、850、950 (FSB100製品)
次のブリッジを加工して10.5xのブリッジと同じにします。
550 : FID[3], BP_FID[3] 及び FID[1], BP_FID[1] *
650 : FID[3], BP_FID[3]
750 : FID[2], BP_FID[2] 及び FID[1], BP_FID[1]
850 : FID[2], BP_FID[2]
950 : FID[1], BP_FID[1]
1050: ブリッジ加工不要 *
10.5xにした場合は、すべての倍率変更が可能となります。
■注 *印の製品は販売されていないとは思いますが、理論上はこのようになります。
ブリッジによる設定の詳細
( 起動倍率、コア電圧 )
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比較的安全性の高い改造ですが、マザーの取り外しを伴うため、組み立て時の些細なミスによる失敗の危険性もありますので、御注意ください、また内容をよく理解した上でお試し下さい。
コア電圧1.85V固定
オーバークロック用に、コア電圧を上げるだけなら
L7ブリッジをクローズするだけで可能です。
コア電圧は1.025V+クローズ部分に記入してある数字の合計で求められます
起動倍率ID[3:0]
Clock | FID , BP_FID |
Mhz | [3] | [2] | [1] | [0] |
5.0x | C | : | C | C |
5.5x | C | : | C | : |
6.0x | C | : | : | C |
6.5x | C | : | : | : |
7.0x | : | C | C | C |
7.5x | : | C | C | : |
8.0x | : | C | : | C |
8.5x | : | C | : | : |
9.0x | : | : | C | C |
9.5x | : | : | C | : |
10.0x | : | : | : | C |
10.5x | : | : | : | : |
11.0x | C | C | C | C |
11.5x | C | C | C | : |
12.0x | C | C | : | C |
12.5x | C | C | : | : |
Cはクローズ、:はオープン
簡易版 倍率変更の詳細
パターンカットなしで論理1を0にできますから、黄色の部分を青に変え、倍率を2x増加させることができます。
Athlon1G(100*10x)を使った場合、この変更で倍率12xのCPUとして、動作します。
Clock | FID , BP_FID |
Mhz | [3] | [2] | [1] | [0] |
9.0x | 1 | 1 | 0 | 0 |
9.5x | 1 | 1 | 0 | 1 |
10.0x | 1 | 1 | 1 | 0 |
10.5x | 1 | 1 | 1 | 1 |
↓ |
11.0x | 0 | 0 | 0 | 0 |
11.5x | 0 | 0 | 0 | 1 |
12.0x | 0 | 0 | 1 | 0 |
12.5x | 0 | 0 | 1 | 1 |
これをさらに青の部分を黄色に変えれば、倍率が1x落ちます。
Athlon1G(100*10x)の倍率12x動作から-1xで11x動作となります。
Clock | FID , BP_FID |
Mhz | [3] | [2] | [1] | [0] |
12.0x | 0 | 0 | 1 | 0 |
12.5x | 0 | 0 | 1 | 1 |
↓ |
11.0x | 0 | 0 | 0 | 0 |
11.5x | 0 | 0 | 0 | 1 |
このように論理を1から0に変え都合の良い倍率になるCPUは,ID10倍 のもの以外にあまりないので、クロックを限定しました。
本文中で書いているように、ブリッジを変更すれば、他のクロックのものでも使用可能となります。
もちろん、オーバークロックですから動く可能性があるということです、念のため。
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