Athlon Palomino 起動倍率
倍率はどのようにして設定されているのか、またその倍率を変えるにはどうするのか。
このページはPalominoコアのMobile Athlon4-900MHzがベースとなっています。
Athlon XP,Athlon MP [Paromino], Duron [Morgan] にも適用できます。
Duron [Spitfire], Athlon [Thunderbird]には、あてはまりません。
Mobile Athlon4 [ AHM 0900 AVS3B ]モバイルアスロン4を使ってみて、その発熱の少なさにほっとしました。低いコア電圧を採用していることが効いているようです。 これをデスクトップ用のCPUとして使う場合、モバイルCPUは通常、5Xとして起動しますから、なんらかの対策が必要です。 ということで倍率設定に関することから...。
このブリッジはID 1つに対し2個が接続され、1kの抵抗を通して一方が0Vに、もう一方がVCC_COREに接続されています。 最も大きな変更点はFID信号で、いままでのThunderbirdコアなどでは、FIDピンにL6ブリッジの状態(0Vかオープン)が直接出力されていましたが、
Athlon4ではL10、L4、L3の値をコア内部の倍率コントロール回路が参照し、ドライバーを通して間接的にのFIDを出力していると思われる点です。 デスクトップ版のAthlon MP, Athlon XPでは当然ですが定格倍率で起動します、FSBが133Mhz、コア電圧は1.75Vとなりますが、それ以外はモバイル版と同じです。 Palominoコアのデフォルト倍率設定回路(推定)図でBP_FIDの横に記入してある倍率の意味は、L4,L3ブリッジがVCC_COREに接続されているときを倍率有効と考えると、動作倍率=有効倍率+3として求められます。 (ただしBP_FID 4,3,2ともにGNDに接続されている場合は、11+有効倍率の合計、ただしL10=GND) オーバークロックに必須のBP_FIDピンは、L1を通ってL10、L4、L3に内部接続されています。 ここで、このピンにスイッチ(以下SW)などを付加し、電流を流すことでブリッジ電圧を変化させ、 CPUコアにブリッジ接続が変わったかのように認識させられれば、起動倍率を変えることができます。 |
L1ブリッジ倍率を変えるにはこのブリッジがクローズ(接続された状態)になっている必要があります。 Athlon4 900ではクローズされていましたが、オープン(電気的に切り離された状態)の製品の場合、接続する必要があります L1クローズセラミックパッケージの場合は、今迄どおり鉛筆や熱線補修材を使います。 プラスチック(オーガニック)パッケージの場合は、内部パターンとのショートを防ぐため、ブリッジの間の溝をボンドなどで埋めてからクローズする必要があると聞いています。 L4、L3ブリッジThunderbirdコアのAthlonでも、デフォルト倍率はL4、L3ブリッジから参照していました。 この原理は変わっていませんが、Thunderbirdコアではとなりあう2つのブリッジを1組のIDとしていたのに対し、Palominoコアではそれがひとつおきになっています。 L10ブリッジThunderbirdコアのAthlonとくらべると、IDが1つ増えて5bitとなったため、L10が追加されました。 ドライバー電子的なスイッチのようなもの、と考えてください VID図のVIDパターンのカットは、コア電圧を設定できるように改造をする場合です、この改造をしない場合はカットする必要はありません。 FIDThunderbirdコア版のオーバークロック改造では、マザーボード上でFIDパターンをカットしてから、手動のFID-SWを付ける必要がありました。 |
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基本的な倍率変更回路今回のPalominoコアでは、FID信号には手を加える必要がありません。
そのためパターンカットはナシ、マザーごとの対応も不要という、たいへん改造に都合の良いことになっています。 [ 設定方法 ]
定格倍率13X以上のCPU対策定格倍率13X以上のCPUでは、AJ27ピンをジャンパ−などで、GNDレベルにすることで、5x〜12.5xの倍率設定が可能になるようです。この方法は倍率変更がサポートされているマザーでも12.5X以下の倍率に設定できない場合にも有効な方法です。 AJ27ピン接続例表示 定格倍率12.5X以下のCPUでは、BP_FID 4に、なにも接続する必要はありません。 また、このピンを200オームでVCC_COREにプルアップした場合、コアの耐性に問題がなければ13X以上も設定可能のはずです。 倍率設定表
*** : 動作状況は不明 |
K7S5Aモバイル版のCPUを使った場合には、この改造をした場合でも起動倍率が変えられないマザーがあります。
モバイル版のCPUを自動認識して定格(Mobile Athlon4-900 なら900Mhz)で起動するマザーでは、起動後にBIOS側からL6ブリッジを倍率IDとして、倍率変更をしていると考えています。(K7S5Aで確認)。
この場合は、L6ブリッジ加工で倍率を変えることができます。 電流制限抵抗サンダーバードコアの時は設定ミスの時、電源のショート防止を目的に50〜100オームを使っていました。 PalominoではBP_FIDピンに電圧を加えると、常時ある程度の電流が流れることがわかり、今回見直した結果、 少々高めの電流制限抵抗(200オーム)に変更しました。 こちらのテストでは50〜400オームの間で動作を確認してあります。 TEST倍率変更確認 Chaintech 7SID OK MSI K7Tpro2-A OK モバイル版のCPUの場合 K7S5A OK |
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Athlon (Palomino) ピン配列マザーボード裏から見たピン配列です、基本的には従来通りですが、BP_FID 4が追加されました。 改造にあたっての注意点基本的この改造はマザーを選ばないはずですが、マザー側に隠れた倍率変更回路が載っていた場合などは、マザー側の回路と干渉することも考えられますので、注意が必要です。また、この改造はPalomino(AthlonMP,AthlonXP)に対応したマザーのほうが、無難です。 マザーに倍率変更の機能がある場合には、このスイッチを付けないでください、なんらかの事情があってSWを付ける場合、マザー側の倍率設定を自動認識にしておけば、たぶん大丈夫かとは思いますが、各社の倍率変更機能を調べたわけではないので、マザーを損傷する可能性がないとはいえません。 CPUコアのデフォルト倍率設定回路について
Multiplier Control回路はBP_FIDに接続された部分の電圧レベルを見ているように感じますが、実際にはそう単純ではないようです。 この図はJohn Carcich氏のブリッジ解析を元にこちらで作成したものであり、あくまで推定です、AMDから公表されている資料ではないため、不確かな部分を含んでいます。 |
BP_FID 4BP_FID 4(AJ27ピン)は他のBP_FID[3:0]ピンとインピーダンスが違っていることをAthlon4で確認しました、 |
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AJ27pin テスト1 CPU : Duron1.3 GHz , Mother : Epox EP-8K7AAJ27ピンをGNDに落とすことで5〜12.5倍に出来ました、AJ27ピンをV_COREに接続した場合、Auto設定の13倍は起動できるものの、マザーの倍率可変DipSWでは起動出来なかった。 御協力:Magnumさん。 data sources
この内容はWorkshopで2001/12/20から公開したものをまとめたものです、 |
改訂記録2001/12/20 Workshopで公開 2002/02/24 再構成 2002/07/01 更新 |