Duron Spitfire コア電圧

コア電圧はどのようにして設定されているのか、それを手動で設定するにはどうするればいいのか?
簡潔に言うと、CPUのVID信号を無視し、マザーのコアボルテージレギュレータのVID入力をスイッチで直接セットできるように改造すればいいわけです、ではそのへんの所をもう少し詳しく説明します。

このページはDuronではSpitfire, AthlonではThunderbirdコアを対象にしています。
PalominoコアのMobile Athlon4, Athlon MP, Athlon XP 及び
MorganコアのDuron、Mobile Duronにはあてはまりません。

コア電圧の変更

オーバークロックの改造と同時に、コア電圧を上げ安定動作をするようにします。 この場合当然、発熱量も増えますので放熱には注意が必要となります。逆に発熱を抑えるために少しコア電圧を下げて使うのも有効で、この場合発熱は減りますが、デフォルトの動作クロックでもオーバークロックと同様の状態ですから注意が必要です。
もちろんマザーにコア電圧調整機能がある場合はこの変更は必要ありません。

VID - コア電圧設定 -

VID信号はCPUからマザーへ,定格電圧のIDを引き渡しています。
この設定もL7ブリッジのショート、オープンの組み合わせで決まり、VIDピンにそのまま出力されているようです。

コア電圧を手動設定にするには、CPUのVID信号のパターンをカットし、SWで設定した値をHIP6302などのコアボルテージレギュレータに直接渡すように変更します。
ただし、この信号はVccにプルアップされているはずですから、このプルアップ抵抗が無効にならないように注意してパターンカットをします。

p4
[VID] L7ブリッジと, 追加するVID設定スイッチ

変更後はコア電圧を1.10v〜1.85vまで0.025V単位で設定できる仕様になるはずです。また簡略化のためVID0のスイッチを常時クローズとした場合は0.05V単位の設定となります。

コア電圧は、右の論理表*でクローズ=0、オープン=1として設定します。
また、ブリッジクローズ部分(またはSW)のところの数値合計+1.075vとしても電圧を求めることができます。

* HIP6302または、AMD のデータシートを参照


VID - VIDのパターンをカットしない場合 -

パターンをカットしない場合は、L7の中央の3本VID[1]〜VID[3]をオープンにし、1.5V定格と同様のブリッジに改造することで0.05v単位の電圧設定が可能となります。
もちろん、CPUのVID のピンカットでもいいんですが.....

前回改造をしたとき、VID信号のパターンが 見つからず、カットしないで済ませていました。
この場合、1.5V仕様のDuronxxxAST1BではVID[1]〜[3]がオープン*となっているため,このブリッジに接続されているVID-SWの設定だけで、うまい具合に定格電圧以上を0.05V単位に設定可能でした。
しかし、1.6v仕様や1.75V仕様では、そううまくもいきませんので、今回パターンカット場所を特定しました。

* 1.7V仕様のAthlonxxxAPT3でもVID[1]、[2]がオープンのため同様なことが可能。


L1 Closed? - L1クローズが不完全な場合のトラブル -


L1のクローズが不完全の場合、全く起動しないか、特定のクロックのみ動作可能な状態になるようです。 その場合下の表の番号に対応するL1のクローズ部分を疑ってみてください。
たとえばDuron600の場合、L1: 0のみクローズ成功でも650で動作しますが、700で動作させるにはL1: 3〜1のすべてがクローズでないと動作できません。また750のところは赤文字で記入してありますが、これが動作すれば、クローズは4本とも成功したことを示しています。


 オーバークロック周波数別、L1クローズの確認
定格5506006507007508008509001000
D6001,0-03,2,13,2,1,03,23,2,03,13
D65010-3,2,1,03,2,13,2,03,23,1,03,0
D7003,2,03,2,13,2,1,0-011,022,1
D7503,23,2,1,03,2,10-1,012,02,1,0
D8003,2,1,03,23,2,011,0-02,12
D850 3,2,1 3,2,0 3,2 1,0 1 0 - 2,1,0 2,0
A900 3,0 3,1 3,1,0 2 2,0 2,1 2,1,0 - 1
A950 3 3,1,0 3,1 2,0 2 2,1,0 2,1 0 1,0
A1.0G 3,1,0 3 3,0 2,1 2,1,0 2 2,0 1 -
A1.1G 2,0 2,1 2,1,0 3 3,0 3,1 3,1,0 3,2 0
Duron/Athlon 製品仕様

コアのマーキングには次の意味があります

Core

D D=Duron A=Athlon

650 Speed: 650Mhz

A パッケージ: A=PGA

U 動作電圧(Vcc_CORE):
S=1.5v, U=1.6v,
P=1.7v, M=1.75v, N=1.8v

T ケース温度: Q=60, X=65,
R=70, Y=75, T=90, S=95

1 L2 サイズ:
1=64kb, 2=128kb, (3=256kb)

B FSB:
A=B=200Mhz, (C=266Mhz)

()内はAthlon用


VID[4:1]コア電圧設定
VID  コア電圧設定
VcoreI D
[4][3][2][1]
1.850000
1.800001
1.75(M)0010
1.70(P)0011
1.650100
1.60(U)0101
1.550110
1.50(S)0111
1.451000
1.401001
1.351010
1.301011
1.251100
1.201101
1.151110
1.101111

クローズ=0、オープン=1

この表では VID[0] はクローズに固定として省略しています。

* 赤文字はDuron/Athlonの定格です
また実際に出力されるコア電圧は設定値より多少高めにずれている場合が多いようです。

01/12/09 モバイルDuronのVIDはデスクトップ版と違っていたので、訂正

01/01/20 モバイルDuron発表にともないコア電圧設定表を改定

01/01/26 L1クローズの確認にアスロン900〜1.1Gを追加