このページはAND Geode NX 1750を中心に説明していますが、基本的にAthlon XP-Mも同様です。
Geode NX、Athlon XP-Mは製造時期にかかわらず起動倍率の変更が可能です。また、ソフトウエアによる動的倍率変更は、マザーボードの起動倍率変更機能の有無に関わらず、そしてCPUの改造をすることなく使用できます。

はじめにお読みください:改造について


Geode NXの詳細、動作速度を変更する

AMD Geode NXとは何か?、動作倍率はどのようにして設定されているのかについて。

2007/10/15、 AMD正規代理店のCFD販売は「AMD Geode NXプロセッサの国内での単品の取り扱いを終了する」とのこと。ただし専用マザーボードとのセット向けには供給されるので、Geode NXシリーズ自体が終了というわけではないものの、入手は困難になる。

AMD Geode NX1750 [ ANXS1750FXC3S ]

ジオードNXプロセッサとは?

Geode NX(AMD ジオードNX)は低消費電力・高性能を特長とし、情報機器などへの組み込み用プロセッサとしてリリースされました。 日本では自作PC市場向けに2005年2月頃から単品で販売されていますが、海外ではほとんど入手できないようです。このプロセッサはAthlon XPとの区別(差別化)のために『AMD Geode NX』というブランドが使われているものの、その正体はノートPC向けのAthlon XP-Mプロセッサをベースとして製造されたSocketA プロセッサそのものです。

つまりGeode NXは新規に設計されたプロセッサ製品ではなく、 メインストリームを退いた実績のあるCPUコアを使うことで、組み込み向けとして要求される「信頼性と低コスト」の両立を実現したCPUです。 電圧やクロックは組込向けのCPUとして最適化されていますが、機能はAthlon XP-Mと同じ、ピン配置も通常のSocketA / Athlon XPプロセッサと同じです。

また、Athlon XP-Mには512KのL2-Cacheを持つバートン・コアと、256KのL2-Cacheを持つサラブレッド・コアを使ったCPU製品がありますが、ジオードNXに使われているダイは、低コストで製造可能なサラブレッド・コア(CPUID=681)が使われています。

Geode NXは性能ではAthlon 64シリーズには及びません。Athlon 64系(AMD64)のコアで発熱が問題となる場合でも倍率や電圧をCool'n'QuietCrystal CPUIDを使って動的に変更すれば、ある程度は抑えることができます。参照 → coolnquiet.info
スピードはそこそこでも手持ちのパーツを活用し、静粛性の高い『静音化マシン』を作るにはGeode NXが便利かもしれませんが、新規にAMDのCPUやマザーを購入し、静粛性の高いPCを作るのであればAthlon 64系の低消費電力モデルをお勧めします。 従来のAthlon XPやXP-Mを持っている方なら、電圧を下げ低クロックで使えば十分に低消費電力化できますから、静音化にはGeode NXが必須というほどでもありません。

AMD Geode NX 2001」というプロセッサが存在します。
このプロセッサは特定の顧客にのみ出荷された製品で、2007年の秋に海外での流通を確認しています。名称はGeode NXとなっているものの、通常のデスクトップ版(Athlon XP-2200+相当)の製品であり、消費電力も60W程度と考えられます。もし日本でこのプロセッサ見つけたとしても他のGeode NXとはまったく別の製品ですから、買うメリットはありません。代理店からの情報では流通状態がはっきりしないためお勧めできないとのこと。
参照blog:AMD Geode NX 2001が存在する


  • AMD Geode NX 1750 1.4GHz 1.25v TDP25W
  • AMD Geode NX 1500 1.0GHz 1.00v TDP9W
  • AMD Geode NX 1250 667MHz 1.10v TDP9W

AMDジオードNXプロセッサの起動倍率は6X5xで、これはモバイルCPUに共通する仕様です。

モバイルCPUは、「BIOS内の倍率変更ルーチン(プログラム)によって、起動直後に動的に定格倍率にセットする機能」が働くことを前提としています。このため、CPU起動時の倍率は6Xなどに固定されていても差し支えなく、そのほうが起動電力を抑えられるため、このような仕様になっているのかもしれません。 Phoenix-Award BIOSを搭載したマザーの多くは、そのまま6X5xで起動しますが、それが普通です。それをどんな方法で変えるかが使いこなしのポイントの1つになります。


Q: 私のAMDジオードNXプロセッサは、定格倍率で起動しましたが?...

AMI-BIOSが載っているマザーボードの多くは、「モバイルCPUを検出すると、BIOSが起動直後に動的に定格倍率にセットします」このため定格倍率で起動したのと同等の状態になります。AMI-BIOSの多くは、親切にもモバイルCPUを考慮した設計になっているというわけです。

Q: 定格のコア電圧で動作していませんが、なぜ?

定格のコア電圧は非常に低く設定されておりGeode NX 1500の定格動作ではファンレスが可能なほど低消費電力となっているのも魅力です。しかしノートPC用のボードでは電圧を正常に認識できるものの、通常のマザーボードでは少し高めの電圧として認識され正しく自動設定されません。できればコア電圧もBIOSなどから手動で設定する必要があります。

Geode NXに完全対応したボードも、わずかながら存在します。blog: Jetway J7F3E-PB(1750)

Q: ジオードNXの起動倍率は固定なの?

ジオードNXを含むAMDのモバイルプロセッサでは、起動倍率は6Xか5Xになっていますが、L3ブリッジを加工すれば変更可能です。すべてのモバイルプロセッサは、センプロンや後期のアスロンXPのように起動倍率がロックされて出荷されたことはありません。マザーボードの起動倍率変更機能は、BIOSとの関係で、できる場合とできない場合があります。

動作倍率はともかく、起動さえすれば、あとはなんとかなるかも...

Geode NXやAthlon XP-Mはほとんどのマザーボードで完全にはサポートされていません、BIOSがGeode NXとして認識できない程度はあたりまえ、もしかすると起動できない、という問題も予想されます。しかしGeode NXはAthlon XP-Mと同等の機能を持っていますから、改造を含めて設定の方法を考えるとすれば、『起動さえすれば、なんとかなる』....はずなのです。


Geode NX [ AMD Geode NX Processors ]

AMDジオードNX プロセッサでは、モデルナンバーと動作クロックの対応がAthlon XPとは全く違います。 処理速度は実クロックで比較してください。OPNの読み方はAthlon XPシリーズとほぼ同じですが、FSBとT_Dieを表すコードの位置が入れ替わったようです。

OPN for the AMD Geode NX Processors [ Process:130nm, L2 Cache:256K ]
OPNPackageV_COREFSBT_Dienotes
Geode NX TDP 25W
1400MHzANXS1750FXC3SOPGA1.2526695-
ANXS1750FXC3MOPGA1.2526695RoHS適合仕様
Geode NX TDP 9W
1000MHzANXL1500FGC3SOPGA1.0026695-
ANXL1500FGC3MOPGA1.0026695RoHS適合仕様
667MHzANXL1250FYC3SOPGA1.1026695-
ANXL1250FYC3MOPGA1.1026695RoHS適合仕様

RoHS適合仕様のプロセッサは、OPNの末尾がSからMに変更されています、性能は同じ。


Geode NXの倍率を定格に変更する

ソフトウエアによる倍率変更

Windows : CrystalCPUID

Geode NXでは倍率が設定できないマザーを使っている場合でも、ソフトウエアから倍率を変更できます。 AMDジオードNXは、AMDアスロンXP-Mと同様にMobile CPUとして認識されますから、CrystalCPUIDなどを使って倍率をセットすることが出来ます。この時の最大倍率は定格倍率になります、ただしチップセット(特にnVIDIA)によってはこの方法が使えません。また、起動時にBIOSによって自動で定格動作をセットするボード(AMI BIOS搭載ボードに多い)もありますから改造には注意が必要です。
ダウンロードCrystalCPUID

Linux : k7mctrl

Linux上ではk7mctrlというユーティリティーがdaitei氏によって開発されました、お試しください。
daitei氏のページhttp://www.gem.mydns.jp/daitei/
倍率変更ユーティリティーk7mctrl(alpha版)

一般のマザーボードではPowerNow!は動作できません

モバイルCPUは、AMDの省電力機構であるAMD PowerNow!の動作もサポートしています。PowerNow!はOSの起動プロセス中にCPUの定格倍率を検出し、動作周波数および動作電圧を動的に調整する機能です。 しかしPowerNow!の動作は、「搭載CPUの倍率、電圧テーブルがBIOS内に登録されていることが必須」ですから、PowerNow!のソフトウエア(ドライバー)単体では 動作できず、対応BIOSが必要です。 一般のマザーボードでは、BIOSにGeode NXの倍率や電圧のデータが用意されていることは、まずありませんからPowerNow!は動きません。

ノートPCに搭載されているAthlon XP-Mの代用としてGeode NXを使う場合も、おそらくPowerNow!が無効になります(BIOS内にGeode NXの電圧やクロックの対応データを持っていないため)が、Windows上では、その代替としてCrystalCPUIDを使うことによりほぼ同様の機能(負荷に応じた電圧、倍率の動的変更)も可能なはずです。 詳しくはソフトウエアによる倍率変更

マザーボードのオーバークロック機能

ソフトウエアによる倍率変更が使えない場合、マザーボードの持つ倍率変更機能を使うことを考えます(特にnVIDIAチップセット)。これは上の図のようにL3ブリッジに接続されているCPUパッケージ裏側のBP_FIDピンを電圧操作し、L3の設定が変わったかのようにみせかけることで実現しています。ベンダーごとに専用チップやジャンパ・スイッチなど手段はさまざまですが、最終的にやっていることはだいたい同じです。

起動不良の原因となるかもしれないこと

ただしGeode NXのように非常に低いコア電圧を使うCPUでは、「マザーボードの持つ倍率変更機能」が正常に動作できない、あるいはこの機能を使わない場合でも、その回路自体が起動不良の原因となる場合もあるかもしれない、ということに注意してください。また、もともとこのような倍率変更機能を持たないボードもあります。

さらに、定格のコア電圧は非常に低いので、マザーボードが正常なコア電圧の範囲を超えていると判定し、起動できないということもあるかもしれません。 もしこれらの原因で起動できないのなら、スイッチによる倍率変更回路や、電圧設定スイッチをつけてやると起動できるようになる可能性があります。ただ、これが原因かどうかはスイッチを付けてみないとわかりません。


BP_FID設定 5bit FSB:133 版

ソフトウエアによる倍率変更やオーバークロック機能が使えないボードでは、古典的な方法ですが改造などで、このBP_FIDピンを直接電圧操作することを考えます。たとえばマザーボードの各BP_FIDパターンにスイッチを取り付け以下のように設定することで起動倍率が変更できます。

倍率Clock
(FSB133)
BP-FID
[4:0]
Model#
5.0x 667M00100NX 1250定格
5.5x 733M00101 -
6.0x 800M00110Mobile 133*
6.5x 867M00111 -
7.0x 933M01000 -
7.5x1.00G01001NX 1500定格
8.0x1.07G01010 -
8.5x1.13G01011 -
9.0x1.20G01100 -
9.5x1.27G01101 -
10.0x1.33G01110 -
10.5x1.40G01111NX 1750定格
11.0x1.47G00000 -
11.5x1.53G00001 -
12.0x1.60G00010 -
12.5x1.67G00011 -
倍率Clock
(FSB133)
BP-FID
[4:0]
Model#
13.0x1.73G10100 -
13.5x1.80G10101 -
14.0x1.87G10110 -
21.0x - 10111 -
15.0x2.00G11000 -
22.0x - 11001 -
16.0x2.13G11010 -
16.5x2.20G11011 -
17.0x2.27G11100 -
18.0x2.40G11101 -
23.0x - 11110 -
24.0x - 11111 -
n/a x 10000 -
19.0x - 10001 -
n/a x 10010 -
20.0x - 10011 -

0は[ 論理0 ], 電圧はLoレベル(1KオームでGNDに接続を推奨)
1は[ 論理1 ], 電圧はHiレベル(200オームでV_COREに接続を推奨)

Mobile 133*:起動倍率はモバイルCPUのため一律に6x、ただしNX1250は定格が5Xなので、そのまま5x起動
n/a:この設定での動作は不可、倍率が黄色になっている箇所は、データシートでは未定義となっている部分です。

13X以上の設定にした場合は、マザー及びBIOS(バイオス)によっては動作しないかもしれません。



ピン配置:Geode NX(Socket Aのマザー裏側から見た図)



緑○がID pin
赤○がVcc_CORE
青○がGND

ピン配置はすべてのCPUで共通ですが↓

FID:L3ブリッジをもとに自動生成されますから、改造時は無視してかまいません。


BP_FIDpinは名称、機能ともにデータシートには記載されていない非公式なものです。


他のCPUと差し換えてみたいのですが?

たとえば現在1.6vのAthlon XP 1700+とかDuronが載っているPCがあったとして、これにGeode NX1750(定格電圧1.250V)を載せたらどうなるのか、CPUが焼けたりしないか?と考える方もいらっしゃるでしょう.....しかしその心配はいりません。

Geode NXに限りませんが、SocketAマザーボードの場合、コア電圧は差し換えたCPUから自動で検知されるためGeode NXに1.6vが加わることはありません。Geode NX1750の場合なら1.425VのCPUとして認識されその電圧が加わります。デスクトップ用のマザーにモバイルCPUを載せた場合は、このように定格電圧より少し高めの電圧が加わりますが、CPUを劣化させるほどの電圧ではないので、あまり心配はいりません。起動できるかどうかを安心して試すことができます。 注意が必要なのは、むしろコア欠け、クーラーの装着忘れ、配線などの人為的ミスの方でしょう。

reference
AMD http://www.amd.com/
AMD Geode NX Processor
Crystal Dew World : Crystal CPUID ダウンロード
coolnquiet.info : Athlon64でCool'n'Quiet
www.watch.impress.co.jp : 注目のSocket A向け省電力CPU「Geode NX1750@14W」登場

  • 改訂:2007/09/26
  • 改訂:2007/05/11
  • 改訂:2007/04/27
  • 改訂:2007/01/28
  • 改訂:2006/08/03
  • 改訂:2005/07/30
  • 改訂:2005/04/10
  • 作成:2005/03/23