Athlon Palomino MSI K7Tpro2A改造

MSI K7Tpro2Aをテスト的に改造してみました。

このボードではPalomino以降のコアはマザーベンダーのサポート対象外ですが
改造方法の確認のため、PalominoコアのMobile Athlon4-900MHzを使っています。
この改造方法自体はAthlon MP, Athlon XP, Duron [Morgan] にも適用できるはずです。
しかし、この倍率部分の改造は、Duron(Spitfire), Athlon(Thunderbird)には、適用できません。

CPU内部の倍率コントロール回路は、PalominoThunderbirdでは違っているため、 マザーボード側のオーバークロック回路の設計しだいでは、機能がうまく働かない、あるいはマザーを損傷する可能性があります。 メーカー側でパロミノコアのCPUがサポート対象になっていない場合、この理由でマザーの倍率変更機能のテストをすること自体、お勧めできません。

MSI K7TPro2-A の改造

アスロン4の動作テスト用にはMSI K7Tpro2Aを使いました、とりあえずアスロン4を載せてみたところ、そのままでは起動はできませんでした、 それでもリセットSWを押すとMobile Athlon4と表示され5Xで立ち上がります。 毎回リセットSWを押さないと起動できませんが、BIOSで倍率、コア電圧ともに変更は可能でした。


MSI K7TPro2-A

Mobile Athlon4

このマザーでMobile Athlon4を載せて、そのままで普通に起動できるという話もきいていますが、こちらでは毎回リセットSWを押さないと起動できませんでした。
しかしこれは、MSIのサイトでアスロン XP非対応となっていますからしかたのないところです。

ところが、BIOSの倍率設定をデフォルトにして、改造した例の下駄のテストをしている時、リセットSWを押さなくても時々すんなり起動することがあり、調べてみるとDIP-SWで倍率を9.5x以上に設定すると普通に起動できることがわかりました、なぜなのかはわかりませんが....。


BP_FID

OC_ctrl

ではさっそく改造です、BP_FID[3:0]ピン,V_CORE,GNDの合計6箇所にワイヤーをハンダ付けします。


アスロン4(パロミノコア)ではFID信号の設定をしなくて良いため、サンダーバードコア用の改造に比べ簡単になっています。パターンカットは不要でBP_FIDピンにDIP-SWをつなぐだけで済みます。 ついでに、VCC_COREとGNDもここから取り出します。



BP_FIDピンに接続したケーブルにSWを2個接続します。 SWを使ってV_COREかGNDに接続しますが、GNDは直接、V_CORE側には200オームの電流制限抵抗を入れます。
(写真で6回路のDIPを使っているのは、こちらでのテストのためで4回路しか使いません)



改造について

改造する場合、静電気への配慮や、半田付けくらいは当然できることを暗黙の条件としてこれを書いています。ハンダごてを使ったことのない方の場合は、ジャンク基板などにワイヤーを付ける練習をしてからでないと無理です。

迷いや疑問が残っている場合は改造せず、新しいのを買い求める素直な気持ちが大切です、それが日本経済を救うことにつながるカモしれません.....。

BP_FID

回路図、倍率設定表は、
起動倍率のページの倍率変更回路
BP_FIDpinの位置はピン配列を参照してください。

VID


CPUのVID信号は74F244の入力ピンに接続されています、この74F244は1/20インチピッチで、都合の良いことに図のように各VIDが割り当てられているため、写真のようにDIP-SWを重ねてしまうと簡単です。



現在デフォルトのVID信号を無視させるためのパターンカットをしていませんので、CPU側でブリッジの加工をしておかないと、デフォルトよりも低い設定ができませんが、このマザーの場合デフォルトコア電圧から0.2vの調整が可能なので、BIOSからのコア電圧の変更と併用することでそれほど不便さを感じません。
MSI K7TPro2Aでは、起動できるコア電圧が制限されているようで、Mobile Athlon4を使ってのテストでの起動可能なコア電圧は1.1、1.3、1.425〜1.85(V)でした。

VID SW


写真でソケットを使っているのは、こちらでのテストのためで実際には不要です。

コア電圧の設定

コア電圧の設定に限り、SWによる設定とBIOSからの設定を併用しても、問題がないと考えています、それはコアのVIDブリッジがオープンかGND かになっているためで、SWによる設定もほぼ同じだからです。

温度センサー埋め込み

このマザーではコア温度を計るセンサがCPUに密着していないので、マザーボードのモニタからは、何をはかっているのかよくわかりません。そこで、ほとんど冗談に近いものですが、ソケット裏に温度センサを埋め込んでみました。

これが使ってみると意外にも調子がいいのです、ヒートシンクの密着不足のときには起動後数秒で違いがわかりました。 ソケット裏は密閉されているから、温度測定には向かないかとも思っていましたが、適当に通気性もあるようで、それなりにコアの温度変化を捕らえてくれます。


温度計のセンサをはずして、ラッピングワイヤーを半田付し熱収縮チューブをかぶせます、次にソケットとマザーの僅かなすきまにワイヤーを通し、センサをボンドで固定、もとの温度計のケーブルに半田付してできあがりです、センサには極性がありますから注意が必要です。

ただ大半のマザーでは、同様の位置にセンサが付いていますから参考になるかどうか?。


Compunurse

温度計は900円くらいでドスパラで買った お約束のCompunurse。ついでにケース内温度も計るため2個を使用、パッケージの紙をくり抜いてはめ込むと、笑える温度計になる!

改造結果

今回はテスト的な意味で改造しましたが、この方法で倍率が変えられることが確認できました。
もともと、このマザーではBIOSから倍率、V_COREともに設定できますから、本来改造の必要はないはずです。 改造後V-COREの設定範囲が広がる(V_COREの調整範囲はデフォルトのコア電圧から0.2V加減に制限)、Mobile Athlon4を使った時の起動の不具合がなくなるなど便利にはなりました。

これはとりあえずスイッチ設定11Xで使ったときの  WCPUIDです。

コアの発熱はカニエのヒートシンクがほんのり暖かくなる程度で、少ないという印象です、個人的にはこれくらいの発熱に抑えてあたりまえのような気がしますが、他社との競争で無理をせざるおえないのでしょう。

このマザーでAthlon4がとりあえず動くようですが、動作を確認できたということではありません、念のため。