PK-OCK7/EV6 仕様と設定

玄人志向から発売された時点で倍率変更機能のあるマザーが出揃っていたため、販売面では苦戦したようです。しかし意外にもその後、モバイル版CPUやマイクロATXなどの改造用に、便利に使われましたが... 現在は販売されていません。

PK-OCK7/EV6 - 倍率変換ゲタ(玄人志向メルコ

PK-OCK7
この製品はCPUとソケットのあいだに挟んで使い、マザーの改造をすることなく倍率設定を可能にするものです。ただし倍率変更スイッチ(以下SW)がソケットの中にあるため、設定のたびにCPUをはずすという苦行が必要です。

このゲタがどんな構成になっているか、パターンを追って調べてみました。ソケットに下駄をはさんで信号を引き出す方法も可能か、とは思っていましたが、まさか製品化するところがあるとは.....。


PK-OCK7は、ゲタ内でCPUのFID信号をカットし、SW1でFID、SW2でBP_FIDをセットしています。BP_FIDピンに対して、LowレベルにはGND, HighレベルにはVcc_Coreを直接使っています。保護回路はないので、SW2の設定ミスは瞬時に製品を破損する!というワイルドな回路になっていました。

PK-OCK7

SW1:FID設定 左からID [3],[2],[1],[0]
SW2:BP_FID設定 左からID設定(Low)用の [3],[2],[1],[0] 、さらにID設定(High)用の[0],[1],[2],[3]
SW3:VID設定 スイッチは実装されていません。

PK-OCK7の回路


この下駄の配線を調べてみました、といっても上の写真そのままの回路です。 コア電圧信号(VID)は下駄内のパターンを経由していますが、結局そのままマザーボードのVID入力ピンに接続されています。このためスイッチ(VID-SW)を追加して電圧を変えようとするときは、赤の×印のパターンをカットしないとVID-SWが有効に働きません、[参照] → PK-OCK7:コア電圧


動作テスト、使用は慎重に!

試したところ、特に問題はなく設定通りの倍率で500M〜1.0Gまで動作しました。

テスト環境は
マザー:GIGABYTE GA-7ZXR(ver1.0)
CPU:Duron 700
V_Core:1.5〜1.85v(可変改造済)

ヒートシンクを取り付けたままゲタごとはずそうとしましたが、KANIE Hedgehog-238ではレバーがヒートシンクと干渉して無理なので、設定を変えるたびはずすことになり、予想通りたいへんな作業になります。

また、テスト中にヒートシンクを固定する金具が、ソケットのツメの奥にかかっているのに気付かず、これがはずれる時のショックで簡単にこのツメを折ってしまいました。

ちょっとした油断がこの始末....、しかたなくマザーのソケットのツメが使えるように、左のような代用金具をつくりました。 このゲタのツメをよく見ると、マザー(GA-7ZXR)のソケットのツメよりも折れやすそうですから、注意したほうが良いようです。


マザーボードにのせると、このようにCPUの位置が約14mmほど高くなるので、ヒートシンクの取り付けは楽になるかもしれませんが、逆に小さい匡体では問題になる可能性があります。
また信号の配線長が往復で28mm伸びますが、この影響が出るかどうかははっきりしませんでした。
後日、掲示版に寄せられた情報によれば、高いFSBやぎりぎりのOCでは、下駄による影響がでるようです。

テスト方法

左側のテストは、変更たびにソケットをはずす必要があり、あまりにめんどうなので、実際には、ざっと動作確認後、別ページの改造をしたあとに行いました。この改造は基本的には等価回路を外付にしたものですから、同様の結果が得られるはずと思います。

注意深く使えば、起動倍率の変更がサポートされていないマイクロATX用か、パターンカットを避けたいメーカー製PCなどには有用かもしれませんが、設定変更に手間がかかるので、倍率変更がサポートされているマザーで、CPUの耐性をテストしてから使うのが現実的でしょう。

PK-OCK7/EV6 倍率設定表

定格12.5倍以下のCPUを使った場合はそのままでかまいませんが、定格13倍以上のCPUを12.5倍以下で動作させたいときは、AJ27pinピンに[5x〜12.5x] ジャンパーなどを取り付ける改造をするか、または以下のようなブリッジ加工を必要とします。

  • Thoroughbred以降のCPUの場合:L3-FID 4をクローズにして[5x〜12.5x]にする
  • Palomino,Morganの場合:L10ブリッジを加工して[5x〜12.5x]にする
倍率設定表1 5x〜12.5x (PK-OCK7/EV6専用)
DIPSW1 ( FID ) SW2 ( BP_ FID )
1234 12345678
ID[3][2][1][0].[3][2][1][0][0][1][2][3]
5.0xC:CC C:CC::C:
5.5xC:C: C:C:C:C:
6.0xC::C C::C:CC:
6.5xC::: C:::CCC:
7.0x:CCC :CCC:::C
7.5x:CC: :CC:C::C
8.0x:C:C :C:C:C:C
8.5x:C:: :C::CC:C
9.0x::CC ::CC::CC
9.5x::C: ::C:C:CC
10.0x:::C :::C:CCC
10.5x:::: ::::CCCC
11.0xCCCC CCCC::::
11.5xCCC: CCC:C:::
12.0xCC:C CC:C:C::
12.5xCC:: CC::CC::

CはON:はOFFを示します


13倍以上の倍率設定

PK-OCK7/EV6でも13倍以上の設定ができる場合があります。定格13倍以上CPUを使った場合にはそのままでかまいませんが、 定格12.5倍以下のCPUの場合には、AJ27pinピンに[13x〜] ジャンパーなどを取り付ける改造をするか、または以下のようなブリッジ加工を必要とします

  • Thoroughbredの場合:L3-FID 4をオープンにして13X〜にする
  • Palomino,Morganの場合:L10ブリッジを加工して13X〜にする
倍率設定表2 13X〜 (PK-OCK7/EV6専用)
 FID BP_ FID(a)BP_ FID(b)
DIPSW1 ( FID ) SW2 ( BP_ FID )
1234 12345678
ID[3][2][1][0].[3][2][1][0][0][1][2][3]
13.0xCC:: C:CC::C:
13.5xCC:: C:C:C:C:
14.0xCC:: C::C:CC:
21.0xCC:: C:::CCC:
15.0xCC:: :CCC:::C
22.0xCC:: :CC:C::C
16.0xCC:: :C:C:C:C
16.5xCC:: :C::CC:C
17.0xCC:: ::CC::CC
18.0xCC:: ::C:C:CC
23.0xCC:: :::C:CCC
24.0xCC:: ::::CCCC
3.0xCC:: CCCC::::
19.0xCC:: CCC:C:::
4.0xCC:: CC:C:C::
20.0xCC:: CC::CC::

CはON:はOFFを示します  赤文字の倍率は従来未定義となっていました、パロミノコア及びそれ以前のCPUでは、この設定は動作できません。サラブレッドコアでは動作が確認できたため追加しました。

ただし、この下駄はもともとサンダーバード・コア用に作られた製品ですから、パロミノはともかく、サラブレッドで使う場合に全く支障がないかどうかは、わかりません。
サラブレッド以降でこの製品を使うのは、基本的にあまりお勧めできません。

また個々のマザーについての動作は確認していません、消費電力やBIOSの関係で動作できない場合もあるはずですから、十分に御注意ください、3.0x、4.0xの倍率はモバイル専用の例外的な倍率で、現在までに動作例はありません。




テスト:13倍以上の倍率設定

13倍以上の設定を試した方から連絡をいただきましたので紹介します。

孤雲 2002/11/05 20:14:17、PK-OCK7/EV6 13X以上の設定実績1

『14.5Xは動作せず。やはりその倍率は存在しないのですね。』

方法:SW1の設定を12.5Xに固定、SW2のみを13X以上に設定。
動作確認倍率:13X 13.5X 14X 15X
マザーボード製品名(Rev):Bioster M7VKG(Rev2.0) (BIOS 0506f)
CPU:Duron 1.3G Morgan


HIROSHI 2002/11/06 01:10:09、PK-OCK7/EV6 13X以上の設定実績2

『どういうことなんでしょう....#FIDピンがとれて、あせりました(笑)。』

方法:SW1の設定を12.5Xに固定、SW2のみを13X以上に設定。
動作確認倍率:13X 13.5X 14X 15X 16X 16.5X 17X 18X
NG確認倍率:14.5X 15.5X 3X 4X
マザーボード製品名(Rev):EPoX EP-8K3A+ (Rev1.2) (BIOS 2619)
CPU:XP2200+ Thoroughbred


HIROSHI 2003/02/16、PK-OCK7/EV6 19X以上の設定実績

『24Xまでフルに設定可能、3X 4Xはもちろん無理だが...』

方法:SW1の設定を12.5Xに固定、SW2のみを19X以上に設定。
動作確認倍率:〜18X 19x 20x 21x 22x 23x 24x
マザーボード製品名(Rev):EPOX 8RDA+
CPU:XP2100+ Thoroughbred(CPUID=681)
8RDA+はBIOSで倍率が変更できますから、本来下駄は必要ありません、 XP2100+のテストで19x以上の倍率でも動作することを確認できたのは、HIROSHIさんのおかげです。 またその後1700+(CPUID=681)でも19x以上の動作を確認されています。(ita)


HIROSHIさんは下駄を改造して、このようなスイッチパネルまで取り付けていました。 自動設定と手動設定とを切り替えられるようにしてあるのは便利かも、 それにしても、よくここまで作ったもんだと.....。
詳しい写真が以下のリンクにあります。
Ver.1 Ver.2



こーちゃん 2003/06/15、PK-OCK7/EV6 19以上の設定実績

『これでまたしばらくの間、このシステムも延命となりそうです』

方法:SW1の設定を12.5Xに設定、SW2を20Xに設定。
動作確認倍率:20x (BIOSの倍率設定は「×12above」)
マザーボード製品名(Rev):ABIT KT7-RAID (BIOS-A9)
CPU:XP2400+ Thoroughbred(CPUID=681)
KT133マザーこその有意義な20X動作ですね、おそらく他の倍率も設定可能でしょう。(ita)


Thanks

御協力をいただいたIKEさん、孤雲さん、HIROSHIさん、こーちゃん、ありがとうございました。


2004/5/18 見直し
2003/6/16 19X以上の設定実績追加
2003/6/16 19X以上の設定実績追加
2003/3/3 19X以上の倍率追加
2003/1/4 製作例リンク追加
2002/12/10 13X以上の倍率設定追加
2001/4/18 記述の追加、テスト結果
2001/4/10 記述の追加、修正
2001/4/03 記述の修正
2001/4/01 作成、検証中

細心の注意が必要!

この製品のSW2(BP_FID設定)スイッチは、各IDを別々のSWでV_coreかGNDに直接接続する仕様になっています。

同じIDに接続されている両方のSWをうっかりONにしてしまうと、V_coreとGNDがショート状態になります。
この場合には、ゲタ内のパターンかDIP-SWが瞬時で破壊されることになると思いますので、設定には十分な注意が必要です。


ショートした場合、ヒューズ替わりにパターンだけが飛ぶ?とも考えましたが、DIP-SWの破損のほうが可能性が高そうな気がします、こればかりは試してみないと.....いや、試しませんけどね。
不幸にも、設定ミスをされた方、どうなったかぜひ御連絡ください。
2001/4/01



.....ついに待望の設定ミスの御連絡をいただきました、予想通り一瞬で...。

ishi

不幸にも、設定ミスをしました。 結果は、ミスしたスイッチレバ−が溶けて動かなくなり、パターンも焼け焦げました。音も火花も出ずに静かなものでした。 電源は入りますので(もちろん起動しません)、スイッチ内か、パターンが焼けきれたようです。 幸い、MBもCPUも異常なしで、損害はPK-OCK7のみでしたので、注意喚起!の良い薬になりました。
2002/09/03
GA-7VTXE+使用、ishiさん。

お気の毒に、ほんとは設定ミスは当然あるとして製品を作っていないことのほうが問題なんですけどねー。ita