Multiplier Control circuit

コントロール回路にトランジスタを使って一気に動作クロックを設定する、もう一つのOC回路です。

  • トランジスタを使ったOCコントロール回路をGA-7ZXRに載せた状態。
  • 回路図、NPNトランジスタを使った場合の説明。
  • 回路図、PNPトランジスタを使用した場合の参考回路。

この回路の接続箇所は GA-7ZX-1 やGA-7ZX-Hの場合と同じです。

この内容はDuronではSpitfire, AthlonではThunderbirdコアを対象にしています。
PalominoコアのAthlon MP, Athlon XP, Athlon 4/Mobile及び MorganコアのDuron、Mobile Duronにはあてはまりません。
このページのOC回路はThunderbird用に設計されているため、Palominoに使用しないで下さい。

もうひとつの倍変コントロール回路

ひと組のスイッチで倍率変更ができる回路の、写真と回路図をKeiさんに送っていただきましたので紹介します。  これは、FID設定のSWからトランジスタを使ってBP_FIDをスイッチングすることで実現した、たいへんスマートなものです。
こんな回路を待っていました!!。(2001年7月)



少し大きめの黒いものが面実装トランジスタ、小さいのが抵抗。

搭載状態

FID、VIDなどの配線引き出し及び切り離し箇所の詳細は、GA-7ZXシリーズですから他のページと同一なので、省略します。

BP_FIDの配線はFIDの配線と束ねてメモリソケットを迂回してFIDはそのまま基板上で接続、BP_FIDは電源コネクタの位置合わせ穴から基板裏に通して、ソケットのピンへと配線されています。


GA-7ZX-1 Rev1.0 に載せた状態


Kei さんからのメールの抜粋

ita さんのHP を参考にGA −7ZX(Rev1.0)を改造しました。

BP_FIDとFIDの設定ミスを未然に防ぐ方法でないと不安だったもので、 BP_FIDも一発で切り替えられるように回路を組み、ユニバーサル基板上に載っけました。
ホントのところはitaさんと全く同じ回路じゃ面白くなかったりして・・・。

面実装のトランジスタとチップ抵抗だけで組んでみました。

何の問題もなく動作していますよ。切り替えも結構やり易いです。

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Q1 は本来PNP タイプのトランジスタを使うべきところでしょうが、
チップセットのI /O 電圧が2.5V 前後でVCC_CORE電圧とかけ離れているため、 もしここに直接PNP ベースを付けると電圧差でVCC_COREに電流が流れる恐れがあり、それを防ぐためには、逆流防止ダイオードが必要になります。

ところがCORE 電圧は1.3 〜1.85V 。この電圧で駆動させるためにはダイオードの順方向電圧が低いショットキ・バリアダイオードが必要になります。 しかし我が手元にありませんでした。

で、この回路になってしまったのです。一応まともに動いているからいいかなってカンジです。

上の図は基板拡大図。下は搭載状態です。
回路図はPDFファイルに載せています。

回路図 ダウンロード
AthlonFIDVID_.PDF 9k


回 路 図

この回路が各IDごとに合計4個必要となります、動作を簡単に説明すると
DIP-SW offのときQ1がONし*印の電圧がほぼVss(0v)になるので Q2=ON Q3=offになり 出力は約VCC_COREのレベルになります。

DIP-SW ONではQ1がOFFになり,Q1がない状態と同じと考えます、 *印の電圧は、VCC_COREに近くなり、Q2=off Q3=ONとなり 出力は約Vss(0V)のレベルになります。

R1、R4、R6はベース電流の制限抵抗
R2、R5、R7はノイズなどで誤動作するのを防ぐためのもの。


CPUのBP_FIDの乗っ取りには、各pinに最大2mA程度流す必要があります。
この回路ではたとえトランジスタのhfeが100としても約20mAの電流が流せるようになっています。

このためこの品番のトランジスタでなくても、2SA1015、2SC1815等の汎用小信号スイッチング用トランジスタであれば、だいたい使えるのではないかと思います。


Athlon/Duron FIDコントロール回路


PNPトランジスタを使用した場合の参考回路

この倍変回路をVCC_CORE1.1V以上で動作させるとすると、
2SA812はIB=100μA、VBE=-0.62V また  1SS389はIF=100μA、VF=0.16V
なので合計で0.78Vになります。(いずれも0℃の時)
 つまりこの回路は、FID_SWオン時にVSSとVCC_CORE 間の電圧が0.78V以上であれば動作するはずです。

R1の値は、VCC_CORE=1.1Vとすると1.1-0.78=0.32V、100μA流すには 3.2KΩですので、3.3KΩを使用します。このとき100μAほど流しますがVBE、VFともばらつきは±0.2V程度ですし、 温度が上がるとVF、VBE共に下がる方向なので常温では、まず問題なく動作するでしょう。 出力もhfe=200〜400なので、負荷抵抗R3( 220Ω)をドライブするには十分と考えられます。


PNPトランジスタを使用した場合に、ショットキ・バリアダイオードを、どう使うのか興味がありまして、さらにkeiさんに参考回路図と、その説明を送っていただいたのがこれです。たいへんお手数をかけました。
左はその説明文の要約です。

ショットキ・バリアダイオードはVF=0.2V以下(@IF=1mA)であれば使用できますが、なかなか手に入りにくいとのことです。


PNPトランジスタを使用した場合の参考回路図(未製作であり、動作検証はしていません。)


さいごに

 ほんとは、こんなOC回路を作ってみたかったのですが、技術が伴わず....。
これを見せていただき、なんとか理解することでき、たいへん参考になりました。
本来、スイッチでのOC回路のように、設定ミスに注意!ではなく、
設定ミスができないようにするのが粋ってもんですからね。この回路は偉い!。


data sources

NEC エレクトロンデバイス/製品情報
http://www.ic.nec.co.jp/discrete/japanese/product_index.html

 2SA812 http://www.ic.nec.co.jp/nesdis/image/TC-5166B.pdf
 2SC1623 http://www.ic.nec.co.jp/nesdis/image/TC-5172C.pdf

TOSHIBA Semiconductors
http://www.semicon.toshiba.co.jp/

 1SS389 http://www.semicon.toshiba.co.jp/pdf_j/docweb123/j000306.pdf


Thanks

この改造内容を送っていただき、掲載を快諾していただいたkeiさんに感謝致します。


当然のことながら、実際に改造される場合は、この内容が自分のマザーに適用できるかどうかを検証の上、お試し下さい。
また、他のメーカーのマザーでも接続箇所を特定すれば同様な改造が可能と思いますが、試された方はぜひ御連絡下さい。


2001 07/01 公開