AMD Socket A CPUガイド

AMDのCPUは、最新のPhenom, Athlon X2... などの64bitプロセッサと、従来の32bitSocketAプロセッサ( Athlon XPGeodeNX... )があり、このページではSocket A CPUの特徴を簡単に紹介しています。
注意:Socket A(Socket 462)と各64bit CPUではソケット形状が全く違います、CPUの差し換えはできません。

AMD 32bit プロセッサ [ SocketA 130nm Process - 462 pin ]

このページでは、AMD SocketAプロセッサの「130nmプロセスのCPU」を紹介しています。130nmプロセスのCPUでは、L2 Cacheサイズの異なる2種類のダイがあります。また、このページの他に、より古いSocketA 180nm CPUを紹介したページがあります。

Socket A CPUガイド
■ Athlon XP 512k L2 : アスロンXP、130nmプロセスのL2 Cache 512k版
Athlon XP、Athlon MP、ノートPC向け Athlon XP-M
■ Sempron : センプロン、L2 Cacheが512k及び256k
Sempron
■ Athlon XP 256k L2: アスロンXP、130nmプロセスのL2 Cache 256k版
Athlon XP、Athlon MP
■ Geode NX : ジオードNX、低消費電力の組み込み用CPU
Geode NX
■ Duron : デュロン、低価格PC向け
Duron
Socket 563
■ Athlon XP-M s563 : uOPGAパッケージのモバイルCPU
Athlon XP-M uOPGA版
CPUガイド
関連ページ / 旧世代32bit 旧世代のSocketA CPU : ソケットA 180nmプロセスのアスロン、デュロン
関連ページ / 最新64bit AMD64 CPUガイド : Athlon 64 X2Turion 64Opteron など

SocketAプロセッサにおいて、AMDのリテールパッケージの出荷はすでに終了しています。市場にSempronやAthlon XP、Athlon XP-Mは、ほとんどありません。 Geode NXは例外で、組み込み用としてOEMへの供給は続けられているものの、販売代理店を通しての市場への供給は終了したためGeode NX単品も2008年3月で市場からほぼ姿を消したようです。
新規にマザーボードとCPUを購入する場合、2008年現在、価格、性能ともSocketAを選ぶメリットはありません。AMDのCPUを選ぶのであれば、より新しいAM2プラットフォーム以降をお勧めします。


設計上は2種類のコアしかない

Athlon XPやSempronなど、SocketAの130nmプロセスCPUに使われているコアは、開発コードBarton(バートン)と呼ばれるL2 Cacheが最大512kのダイ(シリコンチップ)と、開発コードThoroughbred(サラブレッドと呼ばれるL2 Cacheが最大256kのダイ)の2種類しかなく、各ブランドの製品はこのどちらかのダイをコアとして製品化されたものです。たとえばGeode NXはThoroughbredコアを使ったCPU、SempronはBartonコア版とThoroughbredコア版のどちらもあります。ただし、2種類しかないと言ってもそれは光学的な設計上のことで、高クロック動作、低電圧動作などの、電気的な特性には差があります。

Athlon XPとSempronの性能差は?

L2 Cacheサイズが同一で同じFSBで動作させた場合、Athlon XP、Sempronともに共通のコアのため同一クロックなら性能は同じです。さらにAthlon XP-MGeode NXであってもほぼ同じはずです。ただし、SempronとAthlon XPなどで性能を比較する場合、モデルナンバーの基準が違うので、そのまま比べることはできません、実クロックで比較してください。

いろんな色のCPUがありますが?

最終製品のCPUパッケージ(本体)は緑系か茶系の樹脂(オーガニックパッケージ)で、表面に縞模様のような配線が透けて見えます。旧パッケージではCPUの配線が透けて見えません。また、一般に緑系か茶系かによる性能の違いはないとされています。 この他に明るいあずき色のCPU(セラミックパッケージ)がありますが、こちらでは旧世代CPUとして別のページで紹介しています。



Barton 512K L2 Cache

開発コード名バートンは、AMDの初期の計画では製造プロセスを変更し、さらに高いクロックを狙う予定でした。しかし、それがキャンセルになったためThoroughbredのBステッピング(CPUID=681)をベースにL2 Cacheを512Kに拡張し性能を向上させたと言われています。最高性能では当然Bartonですが、経済性ではダイが小さいThoroughbredのほうが勝ります。BartonとThoroughbredではそれ以外のアーキテクチャに違いはなく、同一世代の製品です。

下のOPNのリンクは、製造コードを読むためのページへの移動用です。

Athlon XP [ AMD Athlon XP Processor Model 10 ] OPN

Barton
  • デスクトップ用のCPU
  • バートン・コア : サラブレッドと同じ130nm 銅配線プロセスで製造され、基本的なアーキテクチャも同じですがL2 Cacheを512Kに拡張しています。 このため外観上はL2 Cacheが2倍になった分ダイが長くなっています。 FSBは333、400ですが例外的に266も存在するようです。 表面に配線が透けていない従来のパッケージの物もあります。
  • 2003/2/10:AMD Athlon XP 3000+ 、2167MHz(FSB333)
    2003/5/13:AMD Athlon XP 3200+、2200MHz(FSB400)

Thorton
  • Athlon XP 256K L2 Cache [ Model 10 with 256K L2 Cache ] OPN
  • Bartonコアの派生製品、性能はThoroughbredコア製品と同じ
  • 開発コードがThorton(ソートン)と呼ばれるCPUで、コアはBartonが使われています。ただしL2キャッシュの半分を無効にし L2=256K として認識されるようになっているため性能はThoroughbredと同一です。改造などの扱い方はBartonのページを参照してください。
    見た目はAthlon XP(Barton)と同じですから、OPNラベルのマーキングで判別します。たとえば AXDC 2400 DKV3C の時、3がThorton、もしであれば512kのBartonです。
  • 2003/10/09:AMD Athlon XP 2400+

Mobile Athlon XP-M [ Mobile AMD Athlon XP-M Processor Model 10 ]

Mobile Barton
  • 高性能のモバイル
  • 同一クロックならデスクトップ用のXPとほぼ同じ性能です。コア電圧はAthlon XPより低いシリーズですから発熱をある程度抑えたまま高性能で使うことができます。しかし本来、省電力機能である「PowerNow!」の動作が前提になっている製品のため起動倍率は6X、定格電圧を正しく自動認識できるマザーはない(ノートPCを除く)という不都合もあります。実際にはマザーボードの機能を使ったり、ソフトウエアによってこれらの点は解消できる場合が多いので、それほど問題ではありません。 パッケージはOPGA、FSBは200, 266。
  • 2003/3/12:AMD Athlon XP-M 2500+、1867MHz(FSB266)
  • およそ2004年以降に出荷されたCPUは起動倍率が固定されていますが、Mobile版(Athlon XP-M, Geode NX)だけは例外で、マザーボードの倍率変更機能などを使えば起動倍率の変更が可能です。しかし、通常のマザーではサポート外となっています。参照

Athlon MP [ AMD Athlon MP Processor Model 10 ]

  • マルチプロセッサ向けCPU
  • 512KのL2を搭載したSocketAの最上位に位置するマルチプロセッサ向けCPUで、外観はAthlon XPと同じです。FSBは266。
  • Athlon MPは、あまり入手性は良くありません。代替にSempron(SDA3000)を使うとすると FSB133X12=1.6GHzですから電圧を下げて使えそうですが、それならAthlon XP-Mを使ったほうが良さそうですね。現在なら発熱を抑えることを目的にGeode NXという選択肢もあります。
  • 2003/5/06:AMD Athlon MP 2800+、2133MHz(FSB266)

Sempron [ AMD Sempron Processor Model 10 ] Sempronの詳細へ

  • デスクトップ用のCPU
  • 512KのL2を搭載したSocketA CPUの最上位に位置する製品です。実際には従来のAthlonXPからSempronに名称を変更した製品と考えれば良く、AthlonXP 512k L2と同じバートン・コアを使っているため性能は、まったく同じです、外観もOPNラベル以外違いがありません。ただし登場時期の関係で起動倍率は固定されています。


Thoroughbred  256K L2 Cache

サラブレッド・コア : サラと省略して呼ばれることもあり130nm 銅配線プロセスを採用しています。 数多く流通した製品はステッピング(CPUID=681)で、こちらではこのステッピングの製品をベースに説明しています。
パッケージはOPGAの緑か茶、表面に配線が透けて見える新パッケージと配線が透けていない旧パッケージの物があります。

Sempron [ AMD Sempron Processor Model 8 ] Sempronの詳細へ

sempron
  • ソケットA CPUの最後のブランド
  • 『AthlonXPからSempronに名称を変更した製品』と考えれば良く、CPUIDは681、L2キャッシュも256Kのままと、AthlonXPとまったく同じです。特徴はFSBが333に設定されていることと、モデルナンバーの基準が従来のAthlonXPとは全く違うことです。
  • Sempronのモデルナンバーは、同一クロックのAthlon XPよりも大幅に高いのですが、クロックあたりの処理能力が向上したとかの理由ではありません。 これはCeleronの実クロックとの比較を意識した『モデルナンバーの再定義』と考えれば納得がいきます。 登場時期の関係で、センプロンの起動倍率はすべて固定されていますから改造を行ったとしても変更することはできません。(改造でCrystal CPUIDの動的倍率変更は可能)

Athlon XP [ AMD Athlon XP Processor Model 8 ] OPN

Thoroughbred
  • SocketA, 130nm製品の標準
  • 低いクロックの製品は非常に安価に提供されたこともあり、一時期オーバークロック耐性の良さからCPUID=681AXDA1700DLT3Cに人気が集中しました。 FSBは200、266、333、クロックは1200MHz(Mobile)〜2250MHz(Desktop)
  • 2002/4/17:Mobile AMD Athlon XP 1700+
    2002/6/10:AMD Athlon XP 2200+
    2002/8/27:AMD Athlon MP 2200+

Mobile Athlon XP-M [ Mobile AMD Athlon XP-M Processor Model 8 ]

  • スタンダードなモバイルCPU
  • 外観、性能ともデスクトップ用のXPと変わりません。 省電力機能「PowerNow!」の動作が前提になっているため起動倍率は5Xか6Xです。 コア電圧はAthlon XPより低いシリーズのため 省電力ですが、その電圧を正しく自動認識できるマザーは"ない"ため、マザーボードの機能を使ったりソフトウエアによってこれを解決して使います。 FSBは200, 266。
    AMDのCPUは起動倍率が固定されていますが、Mobile版だけは例外でマザーボードの倍率変更機能などを使えば起動倍率の変更が可能です。しかし、通常のマザーではサポート外となっています。参照

Athlon MP [ AMD Athlon MP Processor Model 8 ]

  • マルチプロセッサ向けCPU
  • 256KのL2を搭載したマルチプロセッサ向けCPUです。

Geode NX [ AMD Geode NX Processor Model 8 ] Geode NXの詳細へ

Geode NX
  • 低消費電力な組み込み用CPU
  • 情報機器などへの組み込み用としてリリースされたCPUで、長期にわたる供給の継続が期待できます。 パッケージはOPGAで、外観上も機能もMobile Athlon XP-Mと同様のようです。 このため起動倍率は6X、FSBは266になっています。 動作電圧はGeode NX 1750でも1.25Vと非常に低く抑えられており、1.0GHzのGeode NX 1500ではファンレス動作も可能になっています。
  • Geode NX 1250 667MHz 1.10v TDP9W (2005/02/18) Geode NX 1500 1.0GHz 1.00v TDP9W (2005/02/25)
    Geode NX 1750 1.4GHz 1.25v TDP25W (2005/01/12)
  • Geode NXはマザーの倍率変更機能などを使えば起動倍率の変更が可能です。 しかし、通常のマザーではサポート外となるため『何がデスクトップ版と違うのか』をきちんと把握してから試されることをお勧めします。

Duron 64K L2 Cache [ AMD Duron Processor Model 8 with 64K L2 Cache ] OPN

Applebred
  • 低価格PCに搭載するためのThoroughbredの派生製品
  • Applebred (アップルブレッド)と呼ばれる最終のDuronは、新設計のコアを使ったものではなく、コア自体はThoroughbredそのものです。しかしレベル2キャッシュは64Kとして認識されるようになっており、性能はAthlon XPより少々低くなります。扱い方はThoroughbredのページを参照してください。FSBは266のみ、クロックは1400MHz〜
    Duronにはモデルナンバーは使われないため、OPNの数字はそのまま動作クロックを表します。 また、パッケージの見た目はAthlon XPと同じですが、OPNラベルのマーキングがDuronになっているので判別できます。 DHD 1800 DLV1C の時、1が64Kキャッシュのデュロンを示しています。
  • 2003/8/15:AMD Duron 1600 (MHz)

注意!
Thoroughbredのリリース初期には、Palominoコアを光学的にシュリンク(縮小)したと言われるプロセッサ・コア(CPUID=680)がAthlon XP, Athlon XP-Mとして出荷されました。改造したとしても最大倍率は18Xと挙動はPalominoに近い物のようですから、最終のサラブレッド・コアとは別のコア(特に改造などでは)と考えたほうが良い。先に130nmのCPUは2種類しかないと書いていますが、このCPUID=680があるため、正しくは3種類あります。

その他のSocketAプロセッサ

より古いSocketA 180nm製品へ旧世代CPU



Socket563 Athlon XP-M

Mobile Athlon XP-M [ Mobile AMD Athlon XP-M Processor Model 8, Model 10 ]

Package Type: uOPGA563
  • uOPGAパッケージのモバイルCPU OPN
  • 小型のノートPC向けにソケットA CPUよりも小さいSocket563という外形寸法33X33mmのuOPGAパッケージを採用した製品です。 uOPGA 563pinは、ソケット形状がソケットAとまったく違います。もちろん差し換えることはできません。 しかし、CPUのコアはSocketAのMobile Athlon XP-Mと共通のダイを使っているため、性能は同じクロックのSocketA版と同じです。また、CrystalCPUIDなどのCPUIDユーティリティーではSocketAと判定されます。この563pinCPUや対応するマザーは一時期セット販売されたことがあるくらいで、ほとんど市場には流通しませんでした。
  • この512K L2のバートンコア版の他に、L2が256Kのサラブレッドコアを使った製品も存在します。
    参照 blog / Socket563(uOPGA)

SocketA 補足説明

モバイルCPUとデスクトップCPU

モバイルCPU

モバイルCPUは通常のマザーボードで正式にサポートされているわけではないので、BIOSではUnknown CPUと表示される場合があります。 コア電圧は自動認識させると定格より0.125v〜0.175v高くセットされ正しく認識できません。 経験的には、そのまま使ったとしてもCPUにダメージを与えることはないとは思いますが、低消費電力というメリットが活かせませんから、定格電圧を手動でセットできるような多機能なマザーを使うことをお勧めします。

モバイル版のCPUは、定格の消費電力が少ないこともあり注目されている方も多いと思いますが、デスクトップ用のマザーに搭載した場合、起動できないというボードや、そのままでは定格で動作しない、という問題があります。 定格倍率で起動できないマザーでは、BIOSなどによる倍率変更機能を使うか、CrystalCPUIDなどで起動後に倍率を変更(nVidiaチップセットを除く)します。しかし一部のマザーでは定格で使うためにCPUかボードの改造が必要になる場合があります。いろいろな解決方法がありますが、その方法をきちんと理解してから試されることをお勧めします。

デスクトップ用のCPU

SocketA用のマザーボードでは、基本的にすべてのプロセッサに対して倍率やコア電圧を自動で検知することができます。 SocketA CPUは2000年のリリース初期のAthlonから最終Sempronにいたるまで、電圧や倍率のIDの定義は変わっていません。

ただし、マザーボードの発売時期によっては、チップセットやBIOSの関係で定格クロックでは使えないとか、消費電力の多いCPUに対応できずマザーが過熱するという可能性もあります。 このような理由で対応CPUリストにある最高クロック製品のCPUの消費電力を調べ、使用するマザーボードの供給電力の限界を推定しておくことをお勧めします。

デスクトップ用のCPUは現在(2006/03)新品が入手できたとしても、起動倍率が固定されています。どのような方法を使ってもそれを変更することはできないようです。(どなたも成功していません) ただしwindows動作中にCrystalCPUIDを使って倍率変更をして速度を変えることはできますが、そのためには「モバイル化 改造」が必要です。

CPUがマザーボードの対応リスト外でも動作できることもあります。たとえ動作できなかったとしてもマザーボードやCPUを直ちに損傷するということはないはずですから、比較的安心して試すことができます。経験的には、古いマザーに最新のCPUを載せた場合でも、おおむね動作することも多いようです。


ごく短時間のテストでも、ヒートシンクを必ず取り付ける

アスロンに限らず最近のCPUはかなりの消費電力があります。CPUダイにはグリスを塗り、ファンのついたヒートシンクを必ず取り付けなければなりません。そうしないと、本当に一瞬でCPUは100度以上の高温になり焼けてしまいます。また電源の選択やヒートシンクの取り付け方にも注意が必要です、具体的な方法はここでは書いていませんので、検索などで調べてから作業をされることをお勧めします。 キーワード例:Athlon ヒートシンク コア シリコングリス .....など適当に。


reference
AMD Technical Documentation http://www.amd.com/us-en/
Athlon Processor_recognition.pdf
Thorton , Applebred 画像の提供
興隆商事 / 最新情報
  • 改訂 2008/10/28
  • 改訂 Socket 563の追加など 2007/02/16
  • 改訂 記述追加 2006/03/07
  • 改訂 記述追加 2005/09/13
  • 改訂 AMD64を分離 2005/07/15
  • 追記 2005/02/21
  • Sempron, Geode NXの追加を含む全面改訂 2005/02/14
  • 939pinの追加 2004/05/30
  • ページを分割 2004/05/06
  • Athlon 64, Opteron追加 2004/04/16
  • 更新 2003/11/17
  • 更新 2003/11/06
  • Thorton追加 2003/10/20
  • Applebred追加 2003/09/25
  • 更新 2003/06/02
  • 作成 2003/01/18