Sempron [SocketA]ガイド

SocketAプロセッサの最終ブランドとして使われたのがSempronです。AMDセンプロン・プロセッサは従来のAthlon XPと何が違うのか、リリース当初、これを確かめるためセンプロン2500+を購入しました。

このページはThoroughbredコアのSempronがベースとなっていますが、基本的にBarton,Tortonコアの製品も同様です。
センプロンに限らず、2004年以降のSocketA CPUは起動倍率がロックされています。従来のCPUのようにL3ブリッジの改造や、マザーボードの機能を使ったとしても、起動倍率の変更はできません。その対策はアスロンXPと同様に、倍率変更のページを参考にしてください。
また、Sempron2800+は世界的にリマーク品が流通しています、あやしいアスロンのページも御覧ください。

Sempron 2500+ [ SDA 2500 DUT3D ]

SocketA版のセンプロンは、AthlonXPからSempronに、ブランドの名称を変更した製品と考えれば良く、サラブレッドコア版では、CPUIDが681、L2キャッシュも256Kのままとなっていますから、基本的にAthlonXPと同じです。特徴はFSBが167に設定されていることと、モデルナンバーの基準が従来のAthlonXPとは全く違うことです。

センプロンの起動倍率は固定されていますから変更することはできません。 プロセッサの動作クロックは FSB×CPU内部動作倍率 ですから、FSBを変えることでも動作クロックの変更は可能です。 ただしFSBの変更はマザーボードの機能に依存します。

このCPUでもL3ブリッジから倍率を確認することはできますが、たとえこれを変更したとしても何も変化しません。


Sempronプロセッサの モデルナンバーが表すものは?

Sempronのモデルナンバーは、同一クロックのAthlon XPよりも大幅に高くなっています。 しかしコア自体はAthlonXPと同一のはずですから、クロックあたりの処理能力が向上したとかの理由ではありません。

これはおそらく販売上の都合....つまりCeleronの実クロックとの比較を意識した『モデルナンバーの再定義』と考えれば納得がいきます。 廉価にAthlonシリーズを販売し続けてはブランドイメージを損うことにもなりかねません。

AMDは高性能なCPUをAthlon、低価格なCPUをSempronとして区別し、低価格帯ではCeleronへの対抗をより明確にする、そのための新しいブランドが『センプロン』ということなのでしょう。


2GHzのモデルナンバーは?

2GHzのAthlon XPが2400+であったのに対し、Sempronでは2800+と、およそ400ほど加算されています。 同じクロックでもモデルナンバーが以下のように違いますから注意が必要です。

倍率Clock
(FSB167)
Sempron
L2=256k
Athlon XP
L2=256k
近い性能を持つとされる
Celeron D
9.0x1500MHz2200+(1800+) -
9.5x1583MHz2300+(1900+) -
10.0x1667MHz2400+ 2000+ Celeron D 320 (2.40GHz)
10.5x1750MHz2500+ - Celeron D 325 (2.53GHz)
11.0x1833MHz2600+(2200+)Celeron D 330 (2.66GHz)
11.5x1917MHz - - -
12.0x2000MHz2800+ 2400+ Celeron D 335 (2.80GHz)
3000+(L2=512k) - Celeron D 340 (2.93GHz)
12.5x2083MHz - 2600+ -
13.0x2167MHz - 2700+ -
13.5x2250MHz - 2800+ -
14.0x2333MHz - - -
15.0x2500MHz - - -

()内のモデルナンバーはAthlon XPで該当する製品がないため、実クロックの近い製品のモデルナンバーです。


OPN

通常SDA...で始まるのがセンプロンです。一部SDC...で始まるセンプロンも存在しますが、これはL2キャッシュを512k備えるバートンコアを搭載しながら、L2がその半分の256kに制限されている製品(通称Thorton)の品番で、性能はCPUID=681[Thoroughbred]と同じ製品です。 センプロンのコア電圧は通常U=1.60、FSBはD=333となっているのがわかります。 一般的なAthlon XPのコア電圧は1.65Vですから、発熱はいくぶん少なくなることが期待できます。

AMD Sempron Processor SocketA - [ Process:130nm, L2 Cache:256k - 512k ]
OPNPackageV_CORET_DieFSBnotes
AMD Sempron Processor CPUID=681[Thoroughbred] 62W ,256k L2
2800+ SDA2800DUT3D2000MHzOPGA1.6090333L2=256k
2600+SDA2600DUT3D1833MHz
2500+SDA2500DUT3D1750MHz
2400+SDA2400DUT3D1667MHz
2300+SDA2300DUT3D1583MHz
2200+SDA2200DUT3D1500MHz
AMD Sempron Processor CPUID=6A0 [Barton] ,512k L2
3300+SDA3300DKV4E
OEM for Fujitsu
2200MHzOPGA1.6585400Fujitsu CE50L7
L2=512k
3000+SDA3000DUT4D2000MHzOPGA1.609033362W, L2=512k
AMD Sempron Processor CPUID=6A0 [Thorton] 62W ,256k L2
2800+SDC2800DUT3D2000MHzOPGA1.6090333L2=256k Thorton
2600+SDC2600DUT3D1833MHz
2400+SDC2400DUT3D1667MHz
2200+SDC2200DUT3D1500MHz

()内は実クロックで単位はMHz、 パッケージの名称は次の通り : OPGA = Organic Pin Grid Array

リテールパッケージでは2400+以上が販売されていますが、2200+、2300+はバルクによる流通のみのようです。 ソートンコア版も存在しますが特にメリットはありません。またThortonはBartonの派生製品であることから、それほど数は多くないのではないかと思います。


倍率

起動倍率は現在のXPと同様に固定されています。ただFSBが167なので従来サラブレッドのXPより起動倍率が低くなることが多いため、コア電圧を下げて起動する場合や、FSB200で使おうとする場合は、FSB133のAthlon XPよりも扱いやすいかもしれません。

さっそくモバイル化による、CrystalCPUIDによる倍率変更を試しました。 その結果は.....サラブレッドと全く同じで方法で可能なことを確認しました、センプロンでも問題ありません。 興味深いのは、L5ブリッジがMPと同じになっていることです。....ということは、そのままMPとして使えるかもしれませんね、....まあ、機会があればお試しください。

なぜL5ブリッジがMPと同じなのか...おそらくBIOSがCPUをAthlonXPなのか、それともSempronなのかを判定する時に必要となるはず、との説が説得力があります。このためAthlonXPがSempronと誤認識されることもあるようですが、あまり気にしなくても良いはずです。


CrystalCPUIDによるSempron2500+の認識

Name String:
AMD Sempron(tm) 2500+と表示されています、これは使用したマザーボードのBIOSがSempronに対応していたためです、そうでない場合はAthlon XPとかAthlon MPと表示されるかもしれません。

CPU Name:
Original: Internal Clock ...
これらの箇所はCrystalCPUIDによる判定によって表示されます、正しく表示されていませんが、これは私がうっかりSempronに対応する以前のバージョンを使ってしまったことによるものです。最新版では認識が変わります。

Family, Model, Stepping:
この部分がCPUIDで、681となっている場合、サラブレッドコアと判断できます。

CrystalCPUIDによる倍率変更

倍率が変更できないとはいっても、もちろんそれは起動倍率のことで、L5[2]をクローズすることで起動後にCrystalCPUIDによって倍率が変更できます。写真でL5の白く写っている箇所がクローズした部分です。

写真ではクローズ箇所が、まったく溝からはみ出していませんが、これはクローズ後に再びオープンにしようと、ブリッジ表面を無水アルコールで拭き取ったためです、ちょっと拭いたくらいではオープンにはならないようで、写真の状態ではまだクローズのままです。


クローズ方法は、ようじなどを使ってコンダクティブペンなどの導電材料でブリッジの溝を埋めるだけです。しかし一度でうまくいかなければ、塗ってすぐ綿棒などで拭き取り、さらに塗る、これを2〜3回くりかえてみると良いかもしれません。 ただし他のブリッジまでクローズになってしまわないように、周辺のブリッジをセロテープで覆っておくことをお勧めします。 またこの時、L5[1]も同時にクローズする場合は、L5[1]、L5[2]に塗った導電材料がつながってしまったとしても問題ありません。

この作業で、認識がMobile Athlon XP-Mに変化します。

あとはFunction / AMD K7/K8 Multiplierを使って倍率を変えるだけ。

このように3X〜11Xまで倍率が変更可能になります。さらにL5[1]をクローズしSempronでも24Xまで変更可能になることも確認しました。この仕様もAthlon XPと同じですから、何も変わっていないようです。

ピン配置:Socket A(マザー裏側から見た図)



緑○がID pin
赤○がVcc_CORE
青○がGND


ピン配置はすべてのSocketA CPUで共通ですが↓
SempronのBP_FIDは機能しません。仮にFIDpinをマスクしたとしても起動倍率に影響は出ません。
BP_FIDpinは名称、機能ともにデータシートには記載されていない非公式なものです。

  • 改訂:2006/07/15 SDA3300DKV4E追加など
  • 更新:2005/05/29 OPN追加
  • 更新:2005/03/15 現在の状況にあわせて記述を修正
  • 更新:2005/01/21 Bartonコア及びL5に関する追記
  • 更新:2004/09/22
  • 作成:2004/07/29