AMD Socket A CPUガイド 2 [ 旧世代製品 ]

2000年6月のSocketAプロセッサのリリース開始から、2002年頃まで流通していたパロミノと呼ばれるAthlon XPまでの、AMD 0.18ミクロンプロセス世代のCPUの概要です。 SocketAは、そのピン数からSocket462とも呼ばれます。

Socket A プロセッサ,180nm
■ AthlonXP 256K L2 Palomino : 改良版 デスクトップ及びノートPC向け
AthlonXP、Mobile Athlon4
■ Duron 64K L2 Morgan : 改良版 デスクトップ及びノートPC向け
Duron、Mobile Duron
■ Athlon 256K L2 Thunderbird : 初期型 デスクトップPC向け
Athlon
■ Duron 64K L2 Spitfire : 初期型 デスクトップ及びノートPC向け
Duron、Mobile Duron
[ 参照 ]
マーキング : CPUコア表面に刻印されている製造週やOPNの読み方

詳細な仕様は各プロセッサごとに→OPN を参照してください。
また、0.13ミクロンアスロンのAthlon XPはSocketA CPU、最新64bitCPU はAMD64 CPUを参照してください。


32bit プロセッサ [ SocketA 180nm Process - 462 pin ]

SocketA リリース初期のプロセッサが Model 4のサンダーバード。 その後、製造プロせスの改良とアーキテクチャが変更された Model 6 が モバイル・アスロン4として登場し、そのコアをデスクトップ用のCPUとしてパッケージしたものが パロミノコアのアスロンXPで、いずれも0.18ミクロンプロセスのCPUです。 パロミノコアのアスロンXPは、消費電力や動作クロックの点で、後に発売される0.13ミクロンプロセスのアスロンXPには及びません。

Palomino 256K L2 Cache

改造などのための詳しい情報はPalominoを参照してください

Palomino
  • Athlon XP [ AMD Athlon XP Processor Model 6 ] OPN
  • パロミノ・コア、または省略してパロ。「QuantiSpeedアーキテクチャ」はこのコア以降の共通の仕様です。Thunderbirdと比べると、同じ0.18ミクロン銅配線プロセスでありながら、回路の改良が進んだためか演算性能が少々良くなり、発熱もある程度低減されているようです。パッケージはOPGA(オーガニック・ピン・グリッド・アレイ)が新たに採用され、色は緑か茶、FSBは200、266。
    900MHz〜1733MHz
    クロックが同じであれば演算性能はサラブレッドと変わらないため、最新のコアに対応できないシステムの場合は、まずこのプロセッサが使えるかどうかを検討すると良いでしょう。
  • 2001/10/9:AMD Athlon XP 1800+

Mobile Athlon4Mobile Athlon4 [ AMD Mobile Athlon4 Processor Model 6 ]
  • パロミノ・コアを使ったモバイル版CPUのみMobile Athlon4と呼ばれています。 省電力機能「PowerNow!」、「QuantiSpeedアーキテクチャ」の搭載が特徴です。 「PowerNow!」の動作が前提になっているため、起動倍率は一律に5X、デスクトップ用マザーボードで使う場合は少々工夫が必要です。もちろんノート用のマザーボードでは動作クロック及びコア電圧が動的に変化しますから、何も問題ありません。 パッケージはCPGA、FSBは200。
    850MHz〜1400MHz
    同一クロックならモバイル版のサラブレッドのほうがより低いコア電圧でも動作するため、サラブレッドに対応可能なシステム(特にPowerNow!の動作への影響に注意)であれば、あえてこのCPUを使う必要性はありません。
  • 2001/5/14:Mobile AMD Athlon 4 1000MHz
  • Athlon MP [ AMD Athlon MP Processor Model 6 ]
  • マルチプロセッサを正式にサポートした最初のCPU、他のパロミノ・コアと同じ0.18ミクロン銅配線プロセスです。 非公式には、Mobile Athlon4でもDUAL動作が可能です、さらに、これ以前にリリースされたThunderbirdやSpitfireであってもDUAL動作が可能ということが知られています。 パッケージはMobile Athlon4と同じCPGAで供給。 FSBは266。
    1000MHz〜1733MHz
  • 2001/6/06:AMD Athlon MP 1000MHz

Morgan 64K L2 Cache

Morgan
  • Duron [ AMD Duron Processor Model 7 ] OPN
  • モーガン・コア、設計上はL2 cacheサイズを64Kに削減したPalominoと同等と考えて良いのでしょう。ただし製造は『Fab 25』のアルミニウム配線0.18μmプロセスのはずで、発熱はPalominoとくらべて抑えられているようには感じないので、現在使うメリットはあまりありません。パッケージはデスクトップ用、モバイル用ともにCPGA、FSBは200。
    800MHz〜1300MHz
  • 2001/8/21:AMD Duron 1000MHz

  • Mobile Duron [ AMD Mobile Duron Processor Model 7 ]
  • モーガン・コアを使ったモバイル版のDuronです、TDPは25Wと低め、外観はデスクトップ用と同じです。省電力機能「PowerNow!」の動作が前提になっているため、起動倍率は一律に5X、デスクトップ用マザーボードで使う場合は少々工夫が必要です。Mobile Duronには、この他にPalominoコアを使いL2が64Kに制限された製品も存在しますが、機能的にはこのDuronと同等です。 CPGA、FSBは200。
    800MHz〜1200MHz
  • 2001/5/14:Mobile AMD Duron 850Mhz

Thunderbird 256K L2 Cache

改造などのための詳しい情報はSpitfireを参照してください。

Thunderbird
  • Athlon [ AMD Athlon Processor Model 4 ] OPN
  • SocketAプロセッサを順調に立ち上げたサンダーバード・コア。ドレスデンの『Fab 30』において銅配線、プロセスルール0.18μmで製造。256KのL2 cacheをダイに統合したことが従来のコアとの違いで、1GHzを実現した最初のプロセッサ・コアでもある。しかし高クロックのため発熱は多く扱いが難しい。雷鳥(=Thunderbird)という呼びかたもされていたことから、コアが焼けてしまった場合には、それを『焼き鳥』と呼んでいました。パッケージはCPGA(セラミック・ピン・グリッド・アレイ)、462pin。FSBは200、266。
    700MHz〜1400MHz
  • 2000/6/05:AMD Athlon 1G
    2001/6/06:AMD Athlon MP 1200MHz

Spitfire 64K L2 Cache

Spitfire
  • Duron [ AMD Duron Processor Model 3 ] OPN
  • スピットフアイヤー・コア、機能的にはL2 cacheサイズが64Kに削減されたThunderbirdと同等と考えて良いのでしょう、 製造は『Fab 25』、0.18μmアルミニウム配線プロセスのプロセッサ・コアで、定格コア電圧が低くクロックもそう高くないこともあり、Thunderbirdに比べれば発熱はそれほど多くないようです。リリース当時のDuron600〜700 は、安価でオーバークロック耐性が良かったことから人気がありました。 このコアを使ったMobile Duronが存在しますが、これは単に新ステッピング(CPUID=631)の低電圧仕様のDuronのことで省電力機構は搭載されていません。 パッケージはCPGA。FSBは200。
    600MHz〜950MHz
  • 2000/6/19:AMD Duron 700Mhz

  • Mobile Duron [ AMD Mobile Duron Processor Model 3 ]
  • スピットフアイヤー・コアを使ったモバイル版のDuronです、外観はデスクトップ用とほぼ同じです。省電力機能「PowerNow!」は搭載されていません、起動倍率は定格倍率のため、単に低いコア電圧で動作可能なDuronのようです。
    パッケージはCPGA。FSBは200。
    600MHz〜800MHz
  • 2001/1/15:Mobile Duron 700Mhz

Marking

CPUコア表面に直接刻印されている文字が、マーキングと呼ばれているものです。 これはサラブレッドに使われているマーキングですが、この世代のPalominoまでは直接コアにレーザーによって刻印されていました

説明はサラブレッドに使われているマーキングの図版を使っていますが、読み方はほぼ同じです。

AXDA1700DLT3C
OPN : AXDA1700DLT3C
OPNとはOrdering part numbersのことで、製品発注番号とでも訳せば良いのでしょう。
この部分にクロックやコア電圧などの、CPUの基本的な仕様がコードとして記入されています。
記号 : AIUGA
同じOPNでも、この部分が違うと特性に差が出るとされています。何か製造行程に変化があった場合には、ここが変わると考えて良いのでしょう。この例ではAIUGAですが、この部分がJIUHBの製品ではステッピングが上がりOC特性が良くなっていたという実績があります。
製造週(date code) : 0247
最初の2桁が製造年で西暦の下2桁、つぎの2桁が製造週(デートコード)のようです、この場合は2002年47週です。 これに続くMPMWの文字ですが、この部分はXPMW、SPDW...といろいろありますが、これが何を示すか、これによって特性に差が出るかどうかも意見の分かれるところです。およそ特性に与える影響は、この部分の変化より製造週の変化のほうが支配的であると思います。
製造番号 : 951 317 8 26 0146
なんらかの工程管理用コードとシリアルナンバーのようですが、詳細は不明。 番号が非常に近いければ、似た特性だろうと想像できる程度でしょう。

OPN以外の読み方は、一般的とされているもの、またはこちらでの推定によるものです。


OPNコード

特定のCPUを指す場合に、例えばAthlon1700+と書くだけでは、FSBやコア電圧の違ういくつかの製品が存在し、どれを指しているのか解りません。この場合OPNを使って、AXMS1700DLT3C のように書くと、どの製品かが正確に表せます。

OPNは、AMDのデータシートによれば、このようになっています。サラブレッドから、アーキテクチャのあとに最大消費電力の項目が増えましたが、モデルナンバー以降の項目は同様の読み方ができます。  アスロン64やオプテロンでもこれに近い内容ですが、FSBの項目がなくなり、リビジョン情報などを表す記号が追加されています。

Architecture / Maximum Power
Athlon XPとか Duronのように製品のアーキテクチャを区別するとともに、コアの世代(ジェネレーション)によっても異なるコードとなっています、さらに最大消費電力によっても別のコードとしてグループわけがされているようです。
Model# : Model Number
AthlonXP(パロミノ以降)の製品では、通常はこの数字が直接クロックを表すものではなくモデルナンバーとなっていますが、この世代までは動作クロックを示しています。
Package : Package Type
パッケージタイプを示します、現在はオーガニックパッケージの製品が主流でが、この世代はセラミックパッケージです。
CPGA = Ceramic Pin Grid Array
OPGA = Organic Pin Grid Array
V_CORE : Operating Voltage
デスクトップ版では定格コア電圧を、モバイル版では最大コア電圧を示すコードです。
T_Die : Die Temperature
最大ダイ温度を示します。
L2 Cache : L2 Cache Size
レベル2キャッシュサイズを示します、Athlonは256Kbyte、Duronでは64Kbyte
FSB : Maximum Front-side System Bus Speed
最大システムバス・スピードを示します、但しFSBクロックはこの1/2。

詳細はOPNのページを参照してください。

OPN-A / OPNガイド - Athlon : パロミノ・コアまでのCPU
reference
AMD Technical Documentation http://www.amd.com/us-en/
Athlon Processor_recognition.pdf
  • 追記 2005/02/24
  • 分割再編集 2004/05/07
  • 更新 2004/05/06
  • 更新 2003/11/17
  • 更新 2003/11/06
  • 更新 2003/06/02
  • 作成 2003/01/18