AMD CPUのマーキング [ Marking ]
このページでは、AMDのアスロンプロセッサのマーキングを説明しています。OPNのマーキングを読むことでCPUの仕様がわかります。
Marking
CPUなどの半導体製品の多くは、その仕様を正確に識別するための記号をパッケージ表面に直接印刷するか、またはラベルを貼るなどの方法で記入してあり、これらの記号は通常マーキングと呼ばれています。
#この場合のパッケージとはCPUを購入したときに入っていた容器ではなく、CPU本体のことを示します。
現在のアスロン64やオプテロンなどではこのように、パッケージ表面に直接印刷されています。
初期のアスロンやデュロンではパッケージではなくCPUのコアにレーザーによって刻印されていましたが、
その後サラブレッドと呼ばれるCPUからはラベルを貼る方法に変更になりました。
AMDのCPUでは、このように記入位置はいろいろですが、記入形式はほぼ同じです。サラブレッドのAthlon XPを例にすると以下のようになっています。
- OPN : AXDA1700DLT3C
- OPNとはOrdering part numbersのことで、製品発注番号とでも訳せば良いのでしょう。
この部分にクロックやコア電圧などの、CPUの基本的な仕様がコードとして記入されています。 - 記号 : AIUGA
- 同じOPNでも、この部分が違うと特性に差が出るとされています。何か製造行程に変化があった場合には、ここが変わると考えて良いのでしょう。この例ではAIUGAですが、この部分がJIUHBの製品ではステッピングが上がりOC特性が良くなっていたという実績があります。
- 製造週(date code) : 0247
- 最初の2桁が製造年で西暦の下2桁、つぎの2桁が製造週(デートコード)のようです、この場合は2002年47週です。 これに続くMPMWの文字ですが、この部分はXPMW、SPDW...といろいろありますが、これが何を示すか、これによって特性に差が出るかどうかも意見の分かれるところです。およそ特性に与える影響は、この部分の変化より製造週の変化のほうが支配的であるように思えます。
- 製造番号 : 951 317 8 26 0146
- なんらかの工程管理用コードとシリアルナンバーのようですが、詳細は不明。
番号が非常に近いければ、似た特性だろうと想像できる程度。
OPN以外の読み方は、一般的とされているもの、またはこちらでの推定によるものです。
OPNコード
特定のCPUを指す場合に、例えばAthlon1700+と書くだけでは、FSBやコア電圧の違ういくつかの製品が存在し、どれを指しているのか解りません。この場合OPNを使って、AXMS1700DLT3C のように書くと、どの製品かが正確に表せます。
OPNは、AMDのデータシートによれば、このようになっています。サラブレッドから、アーキテクチャのあとに最大消費電力の項目が増えましたが、モデルナンバー以降の項目は従来のコアと同様の読み方ができます。
アスロン64やオプテロンでもこれに近い内容ですが、FSBの項目がなくなり、リビジョン情報などを表す記号が追加されています。
- Architecture / Maximum Power
- Athlon XPとか Athlon MPのように製品のアーキテクチャを区別するとともに、コアの世代(ジェネレーション)によっても異なるコードとなっています、さらに最大消費電力によっても別のコードとしてグループわけがされているようです。
- Model# : Model Number
- AthlonXP(パロミノ以降)の製品では、通常はこの数字が直接クロックを表すものではなくモデルナンバーとなっています、Max FSBの違いによっても別のモデルナンバーとなります。
- Package : Package Type
- パッケージタイプを示します、現在はオーガニックパッケージの製品が主流です。
CPGA = Ceramic Pin Grid Array
OPGA = Organic Pin Grid Array
- V_CORE : Operating Voltage
- デスクトップ版では定格コア電圧を、モバイル版では最大コア電圧を示すコードです。
- T_Die : Die Temperature
- 最大ダイ温度を示します。
- L2 Cache : L2 Cache Size
- レベル2キャッシュサイズを示します、Athlon XPでは512Kbyteか256Kbyte、Duronでは64Kbyte
- FSB : Maximum Front-side System Bus Speed
- 最大システムバス・スピードを示します、但しFSBクロックはこの1/2。
詳細はOPNのページを参照してください。
OPN-XP SocketA : 現行のサラブレッド、バートン・コアのCPUOPN-64 : 最新のアスロン64、オプテロン・プロセッサ
Attention
アスロンに限らず最近のCPUはかなりの消費電力がありますから、ファンのついたヒートシンクを必ず取り付けなければなりません。そうしないと一瞬でCPUは100度以上の高温になり焼けてしまいます。また電源の選択やヒートシンクの取り付け方にも注意が必要です。具体的な方法はここでは書いていませんので、検索などで調べてから作業をされることをお勧めします。 キーワード例:Athlon ヒートシンク コア シリコングリス .....など適当に。
参考ページ takaman's PC talks / Athlonのコア欠けしないヒートシンク装着法
SocketA用のマザーボードでは、基本的にすべてのプロセッサに対して倍率やコア電圧を自動で認識することができます。CPUがマザーボードの対応リスト外でも動作できることもあります、たとえ動作できなかったとしてもマザーボードやCPUを直ちに損傷するということはないようですから、比較的安心して試すことができます。
しかし対応リストよりも高いクロックの製品を使った場合には、消費電力が増大しますからボードがその消費電力に耐えられるとは限りません。このような理由で対応CPUリストにある最高クロック製品のデータシートをAMDからダウンロードし、使用するマザーボードの供給電力の限界を調べておくことをお勧めします。
モバイル版のCPUは、定格の消費電力が少ないこともあり注目されている方も多いとおもいますが、デスクトップ用のマザーに搭載した場合、起動できないというボードや、そのままでは定格で動作しない、という問題があります。いろいろな解決方法がありますが、その方法をきちんと理解してから試されることをお勧めします。
reference
- AMD Technical Documentation http://www.amd.com/us-en/
- Athlon Processor_recognition.pdf
- 改訂 2005/12/10
- ページ分割 2004/06/22
- 作成 2003/01/18