Peltier / アクアリウム

ペルチエを使ってアクアリウムの冷却はできるのか

アクアリウムの冷却

2002年から始めたばかりの『ビギナー』ですが75cm幅の水草水槽を持っています、運良く水草が繁ってくれましたが問題はこれから....。

水草の入った水槽では、気温の低い季節の間は安価なヒーター1つで水温は一定に保たれますので簡単です、しかし問題は夏、水温がじわりじわりと上がってしまうことになります。熱帯の水草なのに意外にも高い温度には弱いようで、とけてしまうそうです、これを防ぐためにはエアコンの常時運転とか、水槽専用クーラーの設置とかが望ましいそうですが、これではイニシャルコストがかかりすぎます。

簡単な方法としては、照明との距離を少しあけて、ファンで風を送り、気化熱で冷やすという方法、まあこれが一番手軽には違いありません。 しかもファンは通常のPC用ファンで充分なので非常に都合がいい。 しかしこの方法、ある程度の温度上昇は防げるのようですが、蒸発する水の補充も毎日のように必要になるのだそうです。

そこで当然のように思いついてしまうこと、『ペルチエでなんとか楽ができないか』となるわけです。


水槽用クーラーの製作

ペルチエは使ったことがないので調べてみると、問題となるのは、冷却面側の結露対策、絶縁、放熱対策のようで、ペルチエ自体は単純に直流電圧をかければ動作するようです。(実用には制御も必要になるのでしょうが、それはうまくいってから考えることにして)


水槽の水を冷やす方法は、図のように外部の濾過装置のポンプによって循環している水の途中に冷却装置を取り付ける方法としました。
使う材料はなるべくありあわせのものを使用し最小限のコストで実現する方法を考えることにします。


ペルチエを使った冷却テスト

ペルチエ取り付け部分

  • 中央にある縦じまに見える部分がペルチエ、側面はコーキング(シリコーン系シーリング材)で絶縁。
  • 5mmのアルミ板にヒートシンクを取り付けられるように加工し、そのあいだにペルチエを挟みました。
  • 白く見えるのは断熱用のスチレンフォーム。

アルミ板、ヒートシンクはジャンク、結露防止のため隙間をスチレンフォーム(ハレパネを使用)で徹底的に埋めています。



背面の冷却用パイプ

  • アルミ板には、13mmの銅パイプを銅板0.5mmで包みネジで固定。
  • 銅板とアルミの接続部分や、ペルチエとの接触面には、いつもの熱伝導グリスをうすく塗っています。

銅パイプはエアコン室外機配管用のもの、熱伝導グリスやヒートシンクの密着方法はいつもやっている通り。


断熱材で覆った状態

  • 使用したペルチエは40mm角、定格15.4V 4Aの物
  • 電源には、いらなくなったATX電源から12Vを供給 (5V側はオープンになっているので、ほんとはまずいかもしれません)
  • 全体を発泡スチロールのブロックの中に埋め込む。これに埋め込むことで全体を断熱。

しかし結果はみごとに....NG

水なしで通電テストをしてみると、銅パイプに結露した水が凍結しました、「これは面白い」。ではさっそく濾過装置に接続してテストしてみることに。

さてどれくらいの温度変化があったのか....パイプの出口に温度計を取り付け、この時の水温と、電源ONにした時の水温を比較してみました。

  • 水槽全体の水:80リットル
  • 循環する水量:100リットル(実測し、1時間あたりに換算)
  • 水温の変化:0.2〜0.3度

計算上、水温上昇を1時間で最大0.3度程度までは抑えられるということになりますが、これでは室温上昇に勝てそうにありません。ペルチエをなめてました、この程度のファンではやはり放熱が不十分なようです。これをちゃんとしたものにすることと、さらにペルチエを増やすことで、もう少し下げられそうな感じはします。

また、水槽の水が銅パイプの中を通るので、銅の腐食が水質に影響するかもしれない、という心配もあり、ベストはなんと『チタニウムのパイプを使う』のだそうな、しかしそんなの手に入るわけない....。

やはりファンを付けるだけにしたほうが......。


水槽クーラーの製作2

もう少し冷却能力を上げるため、改良することにしました、ペルチエとの接触面が比較的厚めになっているヒートシンクに交換し、ペルチエは2つ、ファンは8cmの4000回転程度のものに交換しました。なおこの状態ではヒートシンクにうまく風があたっていないようなので、このあと8cmから6cmに変換するダクトを取り付けました。

テスト結果2
  • 水槽全体の水:80リットル
  • 循環する水量:200リットル(実測し、1時間あたりに換算)
  • 水温の変化:0.2〜0.3度

循環する水量はフィルターを洗浄したため前回とは違い2倍になっていますので、1時間あたりの冷却能力を推定すると、0.5度程度というところでしょうか。

依然として冷却能力が不足しているような気がしますが、とりあえずこの状態で室温上昇にどこまで耐えられるか様子を見てみることにします、


反省点

ペルチエの発熱は、やはり強力、より大形のヒートシンクとファンが欲しいところです、また冷却側の熱結合もアルミプレートにネジ留めで冷却パイプを取り付ける方法ではなく、もう少しきちんとした方法のほうが良いはずです。またパイプの材質の問題は未解決のままですが、これもどういう影響が出るかは不明です。

今回使用したペルチエ モジュールは、40x40mm 定格 15.4V,5Aの製品として2700円で購入しましたが、調べてみたら4Aの製品のようです、必ずしも大きなサイズの製品のほうが、能力が上とは限らないようですから、購入前によく調べる必要がありそうです。

フジタカによれば、放熱面の温度は80℃以下に、効率良く使うには最大電圧・最大電流の70%程度を推奨、また急激に極性を反転させる様な制御方法はペルチェモジュールの寿命を短くするので極力避けることとなっていました。

Reference