Geode NXプロセッサ 2005/7
組込みシステム開発技術展(ESEC 2005)で聞いたGeode NXの情報
AMDの方は、Geode NXはAthlon XP-Mの『スクリーニングによる製品化』と、はっきりと言ってくれました。
組込みシステム開発技術展でのGeode NX
ESEC 2005 AMDブースではGeode NXが最前面に!
ちょっと時間が取れたので、ESECのAMDブースに立ち寄りました。 組込みシステムが中心の展示会ですから、当然Geode NXがメインです。ほんの数分だけだったため、展示内容はTyanのこれから発売されるボードと、真っ黒なアルミ匡体のファンレスのセットトップボックスが置かれていたことぐらいしか覚えていません。
それよりもAMDの方に、たいへんにこやかに応対していただき、Geode NXについての話を聞くことができたのが収穫でした。 参照ESEC(第8回 組込みシステム開発技術展):2005/6/29〜7/1、東京ビッグサイト
BartonコアのGeode NX
AMDの方の話しでは、なんと『BartonコアのGeodeNXがリリースされる予定』とのことでした。 これは顧客から、より高性能なCPUが欲しいという要求があり、それに応えるためなのだそうです。
組込みシステム用CPUは、その性質上長期に渡って供給されるのが原則ですから、この予定通りであればT'bredコア、BartonコアともにGeode NXとして当分の間は入手できることになり、たいへん嬉しいことです。それにしても組込みシステム用CPUはローコストでなければならないはずですから、製造コストの高いと言われるBarton版は出ないと考えていただけに意外でした。
[追記2007/10/15]しかし...残念なことにGeodeNX Barton版が市場に出ることはありませんでした。そしてT'bredコア版も単品での日本市場への供給は終了しました。(日本市場以外では、もともと単品供給は、されていなかったようです。)
Geode NXはスクリーニング(Screening)
Geode NXはAthlon XP-Mをベースとしている、というのは公式に発表されていましたが、「ではその違いは!」とAMDの方に聞いてみたら『Geode NXはAthlon XP-Mのスクリーニングによる製品』と、はっきりと言ってくれました。つまりGeode NXはAthlon XP-MからGeode NXの要求電圧で動作可能な製品を選別して製品化している。ということなのです、やはりね!。
CPU | Geode NXの定格電圧と定格動作クロック | 参考価格 | |||||
1.25V | 1.20V | 1.15V | 1.10V | 1.05V | 1.00V | ||
Geode NX 1500 | - | - | - | - | - | 1000MHz | 7700円 |
Geode NX 1750 | 1400MHz | 1200MHz | 1133MHz | 1067MHz | 1000MHz | - | 6200円 |
Geode NX 1250 | - | - | - | 667MHz | - | - | 5100円 |
Geode NXで動作が保証されているのは上の表の組み合わせだけです。この表から、AMDとしては性能を優先するならNX1750、価格優先ならNX1250を使ってほしい、と考えているように思えます。すると不思議なのがNX1500の存在。
Geode NX 1500の存在する理由?
Geode NXに正式対応したマザーであれば、おそらくBIOS内のルーチンで起動時に定格倍率にセットするでしょうから、 NX1750は1400MHz、NX 1500は1000MHzと、動作クロックに差が出ます。しかし、BIOSの内容しだいではGeode NX1750でも1000MHz、1.05V起動ができるはずですから、この時の消費電力はNX1500とそう変わらないように思えます。それなのになぜNX1500が存在するのか..... たぶん「ファンレスで1GHz、1.00Vと切りの良い数字の製品をリリースしたかった」...そんなところではないかと想像しています。
Geode NX1500
この表を見て「Geode NX1500では1000MHzしか動作できないのか?」と考える方もいるかと思いますが、そんなことはありません。
Athlon XP-Mのスクリーニングによる製品化なわけですから、Geode NX1500だけが特別なダイ(CPUコア)を使っているという可能性は低く、Geode NX1750などと同じダイです。したがって、定格外にはなりますがNX1750と同じ動作条件程度なら十分に動作が期待できます。
Geode NX1750
逆にGeode NX1750はクロックを下げれば1V動作ができるか、ですが..実は初期の情報ではNX1750でも1V動作のクロックが規定されていました。しかしその後1V動作の項目が削除されましたから、1Vでは、十分な信頼性が得られなかったのでしょう。つまりGeode NX(Athlon XP-M)のダイでは1V動作が可能な物は限られていて、スクリーニングでもあまり採れないから、Geode NX1500の価格が高く設定されたということです。
サラブレッドコアのネイティブモードはモバイル
すべてのサラブレッドコアのCPUはAthlon XP-Mの機能を持っていて、デスクトップ向けにモバイル機能を無効にした製品がAthlon XP。よりスクリーニングの条件を厳しくしたのがAthlon MP。そして低電圧動作品としてスクリーニングを通した製品がAthlon XP-Mなのです。
それならば、Athlon XPとGeode NXは同じダイかというと、光学的な設計上は同じですから機能的にも同一です。ただし、製造段階では低電圧動作のGeode NX向けに最適化されている可能性もあり、実際の最大定格電圧は少し違う可能性があります。念のため、あまり高い電圧はかけないほうが良いでしょう。
ま、およそ1.5V程度迄なら、そう心配ないと思います。
Athlon XP-M
Geode NXがスクリーニングによるものならば、Athlon XP-MでもGeode NXに近い電圧で動作できる場合もあるわけです、Athlon XP-Mを持っている方はわざわざGeode NXを買わなくても、1.25Vから1.10V程度まで電圧を変え、どの程度のクロックまで動くか試してみるのも面白いかもしれません。
Geode NXのリテールパッケージ
Geode NXのパンフレットとGeode NX 1500
TYANからリリースされるGeode NX対応のマザーボードはGeode NX 1750の動的電圧変更に対応(ま、当然かもしれませんが)しているとのことでした。
マザーボードが出るならリテールパッケージのGeode NXはいつ、と聞いてみたところ『出しています』とのことでした。確かまだ売られていなかったと思いますので、まもなく出荷されるのかもしれませんが、私の聞き違いかも?。
Geode NXはSocketAの最後の砦か
Turion 64の優秀さを見ていると『いまさらSocketAでもあるまい』と思うのは私も同じです。新規に揃えるならAMD64系のほうが良いでしょう。 しかし約5年間も発売されたSocketAマザーボードのCPUが急に手に入らなくなっては困ります。 今後Athlon XPやSempronが入手できなるでしょうが、当分の間はGeode NXの供給が続く見込みです。 Geode NXならマザーボードの倍率変更機能やCrystalCPUIDでの倍率変更(一部マザーを除く)もデフォルトで可能であり、低電圧の動作も保証されているわけですから、省電力PCとして組み直すためのSocketA CPUとしては理想的かもしれませんね。(2005/07/28)
reference
- AMD http://www.amd.com/
- Tyan Tomcat K7M(S2498) : FlexATXのGeode NX専用マザーボード
「Tomcat K7M」がTyanから発売に!Akiba2GO! (7/07)- PC Hotline! : Geode NX対応BIOSを添付したECS製の低価格マザーが発売 (7/28)
- Tyan Tomcat K7M(S2498) : FlexATXのGeode NX専用マザーボード
- 改訂:2005/07/28
- 作成:2005/07/06