リマークSempronにおけるブリッジ改変の新手法 [ 2006年 9月 ]

CPUの高解像度の写真を調べてみると、今迄とは違う目立たない方法でブリッジの改変をしていることがわかりました。

正規品のSempronと不法に改変されたCPUとのブリッジ比較

[ 確認用 ] 正規品のSempron 2800

あやしいSempron2800+を紹介する前に、正規品のSempron2800+の写真を御覧ください。ただし手許にSempron2800+の写真がなかったため別のモデルナンバーの写真をベースに合成しました、OPNラベルの雰囲気は少し違っているかもしれませんが、ブリッジは正確に再現してあります。
リテールBOX 正規品のAMD Sempron2800(720x720px)

これは正規のSempron2800+のL11ブリッジの写真です。コア電圧を示すL11は出荷段階でこの様にレーザー加工されています。この状態で1.60Vと正しく認識されます。

一方、問題を引き起こすリマークSempronでは、今迄より巧妙な手段で電圧を変えていることがわかりました。今回はこのL11に注目してください。

  • L11: [3] と [1] がカットされている(1.6V)
  • L8 : 未加工(Sempronでは使われていない)

Athlon XPかSempronかに関わらず、定格1.6Vのデスクトップ用CPUは、すべてこれと同一の見た目です。


不法に改変されたCPUのブリッジ

Sempron2800+として売られていたCPUですが、実際にはこれはSempronではありません。 リマークセンプロンがどんな方法でブリッジをクローズさせているのか、4月の段階では、わかりませんでした。 しかし今回、高い解像度の写真を送っていただいたことで、それがはっきりとしました。

通常、私達がブリッジを改造する場合には、レーザーカットされた溝を埋めるなどしてブリッジをショート(クローズ)させていましたが、最近のリマークSempronの多くは、ブリッジ端に小さな『へこみ』を作ることで、それと同じ効果を得ていたようです。

不法に改変されたCPUの写真拡大して表示


改変の新手法

この『へこみ』はCPU表面のブリッジ端の丸い部分のパターンを変形させ、その下にある絶縁層を突き破り、さらに下のグランド(GND)面に接触させているようです。 ブリッジをグランドに接触させればロジックレベル 0ですから、ほぼクローズと同じ状態として認識されます。

この写真では、赤銅色に写っている長方形の溝、つまりカットされたL11ブリッジの端に、先の尖った物を強く押し付けてできたような円形の小さなキズがあるのがわかります。これが問題で、このページではこれを『へこみ』と書いています。

オープンにするための方法は単純で L11[3]、つまりこの写真で下から2番目のブリッジから出ている配線がカット(白くなっている箇所)されていることがわかります。これでオープン(ロジックレベル 1)と認識されます。

この改変の結果L11[4:0]=C:CCCとなり1.65Vと認識されてしまいます。

正規のSempronにはこのような「へこみ」は存在しません。もちろんL8には溝は1つもありません。


L11と同様の方法で、L3、L12も改変されていました。


リマーク品Sempron2800+への対応の実際

AMDは、リマーク品の流通の調査を開始した場合でも、多くの場合、それを公表しないようです。 調査をしているということは、リマーク品の存在を認めたこととほぼ同じですが、 その存在自体をあまり公にしたくない、ということでしょうね〜。

あなたが、もし『あやしいSempron2800+』を買ってしまったとしたら、通常は購入店に対し『コア電圧が定格と違うあきらかなリマーク品』として返品を要求すれば良いのですが、返品に応じないか、または、より積極的にその流通を止めようとする場合は、AMDに購入日時、購入店、詳細な写真などの情報を提供し、AMDの調査にまかせるという方法があります。AMDが流通の調査を開始すれば、販売店にも連絡が行くはずです、その後の返品はスムーズに行えるでしょう。

バルクのCPUはAMDから直接出荷された物ではないため、AMDに対して返品を要求することはできません、しかし「不正な製品が流通しているという情報は、同じような製品が多数存在するかもしれないわけですから、AMDにとっても有益なはず」、ここがポイントです。

ただし情報を提供する時、AMDや正規販売代理店と連絡が取れた場合でも、 もしかすると、「このような不正な製品が市場に出回ることのないよう、解明に努めます...貴重な情報ありがとうございました」などという、力が抜けてしまうような返信かもしれません。その場合でも気にせず『実物の提出を含めて情報の提供をしても良いと考えておりましたが、実物を確認するまでもなく不正な製品と認識していただけたのなら、販売店に対して連絡を入れていただけるとありがたい』とかなんとか、対策のリクエストをしてみると良いと思います。

しかしながら、正規販売代理店に連絡したが軽くあしらわれただけ、という話も聞きました。残念なことです。 しかしそれはその無責任な担当者が問題であって、この場合、その経緯をAMDのコールセンターに伝えると良いと思います。 企業イメージを傷つけてしまうような製品が流通していることを知らせる情報に対して、AMDや正規販売代理店が調査のために動かないはずがないのです。 こちらでは、現在までに情報提供がきっかけで少なくとも2回、非公式ながら日本AMDが流通の調査に動いたということを聞いています。 また、ドイツでも2006年4月、疑わしいSempronの情報提供に対して、すみやかにリマークであると確認し動いたと聞いています。



参考、GeodeNX1750のブリッジ L11 : VID | Startup Core voltage

以下のデータはAMD GeodeNX1750のL11ブリッジです。
このGeodeNX1750のL11パターンとあやしいSempron2800+がまったく同じであることがわかります。
つまりFake Sempron2800+はGeodeNX1750の不法な改造から作られているという非常に困った問題です。

参考:正規品 GeodeNX1750

SocketA VID Code
BridgesV_CORE (V)
L11
[4:0]
DesktopMobile
SempronXP-M
CCCCC1.850 2.000
CCCC:1.825 1.950
CCC:C1.800(N)1.900
CCC::1.775 1.850
CC:CC1.750(M)1.800
CC:C:1.725 1.750
CC::C1.700(P)1.700
CC:::1.675 1.650
C:CCC1.650(K)1.600
C:CC:1.625 1.550
C:C:C1.600(U)1.500(L)
C:C::1.575 1.450(Q)
C::CC1.550(H)1.400(V)
C::C:1.525 1.350(J)
C:::C1.500(L)1.300(W)
C::::1.475 -
SocketA VID Code
BridgesV_CORE (V)
L11
[4:0]
DesktopMobile
-Geode NX
:CCCC1.4501.275
:CCC:1.4251.250(X) Geode NX1750
:CC:C1.4001.225
:CC::1.3751.200(T)
:C:CC1.3501.175
:C:C:1.3251.150(C)
:C::C1.3001.125
:C:::1.2751.100(Y) Geode NX1250
::CCC1.2501.075
::CC:1.2251.050
::C:C1.2001.025
::C::1.1751.000(G) Geode NX1500
:::CC1.1500.975
:::C:1.1250.950
::::C1.1000.925
::::: - -

C = クローズ、logic is 0.
: = オープン、logic is 1.


御協力に感謝します

リマークCPUの写真提供:tatatakuさん


関連ページ
  • 2006/9 : あやしいアスロン第9弾、Sempron 2800+[ 2006年 9月 ]