VAIO徹底改造 クーリング2

VAIO-K7 徹底改造でのポイントはCPUの冷却方法だけではなかった、システム全体の排気にも注意しなければ安定したシステムは実現できない。

VAIO-K7 CPUのクーリングを再度考える

PCの信頼性

PCの最大の発熱源であるCPUの熱をどうするか... だけでなく、マザーボードのCPU以外の発熱源、つまりVRMに使われているFETやチップセットの発熱がマザーボードの温度上昇につながらないように、クーリング方法を再度考えることにしました。マザーボードの温度上昇を抑えることで、温度に最も弱いパーツである電解コンデンサの寿命をのばすわけです。

S500で冷却方法を見直す

前回のVAIO-k7(S520匡体)ではATX電源を使ってシステムを組みましたが、実はもう1つVAIO PCV-S500匡体にマイクロATXを載せたものを予備で持っています。とりあえずS520はそのままにして、S500で冷却方法を見直しながら組むことにしました。S500にもマイクロATX電源はそのままでは取り付けられませんが、S520同様、電源にあわせて匡体を加工してあります。

CPUクーラーのファンをマイクロATX電源と干渉しないように、3mmのアルミ棒を曲げ、写真のようにインシュロックで結束し取り付けました。

赤の細い線はファンの回転数調整用、黒の細い線は温度センサのワイヤーです(いずれも調整用)


この匡体も前回のS520とほぼ同じですから、CPUの上を電源が覆うような構造です。このため通常の高さのCPUクーラーでは入らないか、または入ったとしてもファンと電源との隙間がわずかです。今回はマイクロATX200Wの電源を使ってあるため、前回より高さのあるCPUクーラーが使えます、しかしどこから排気するかに悩みました。 最終的にヒートシンクに対して斜にシロッコファンを取り付け、I/Oコネクタ側に排気することにしました。

排気カバーを使って空気が流れる方向を明確にする

この写真はテスト用に厚紙で作った排気カバーです、これで形状を試し、あとでこれを型紙としてFOREX(フォーレックス)かアルミを使って排気カバーを作成する予定。

前回より単純な形なので作るのは簡単でした。しかしこの排気カバーは有効に働き、もしこれがないとCPUの排気がケースの外にうまく排出できません。効果は抜群なのです。

今回の最大の問題であった「排気口をどうするか」ですが、このようにI/Oコネクタの隙間から排出という『インチキ』で解決しました。コネクタまわりにほこりが付着するという問題がありますが、I/Oコネクタのカバーがあってもどうせ付着します。たまに強力な掃除機で吸いだせば大丈夫でしょう。 これが、やってみたら意外にも調子が良い。

しかし、この場合EMI対策上問題があるかもしれないので、時間のある時に、この上の電源との間に開口部と金属のメッシュパネルを設けようと考えています。

空気の流れ

今回は、CPUファンを吹き付けにし、ヒートシンクの上を通った空気がさらにVRMの上を通過するようにしました。チップセットのヒートシンク付近にもCPUファンの気流に引き込まれるような空気の流れがあります。この方法だとヒートシンクの間を通った熱風がコンデンサを直撃して、コンデンサを過熱してしまうようにも見えますが、実際に動作させてみると、ヒートシンクの間を通らず表面をかすめるような流れもあるようで、コンデンサを手でさわってみても、それほど温度は上昇していません。

CPUの冷却方法の検討

黄色の矢印が空気の流れ、遠心力を使ったシロッコファンの特徴は風量は少ないものの、吹き出す速度が早いため、このように多少距離があっても風を吹き出してくれるところです。

これに対し普通のファン(軸流ファン)では風量は多くても押し出す力は弱いので、狭い隙間から風を押し出すような使い方には向いていません。


S500匡体を使って、とりあえす完成

使ったクーラーは手持ちのCooler Master製品で、両サイドから空気を吸い込み下に吹き出すタイプです。ところがこのクーラーを取り付けると、FDが干渉して取り付けられませんでした。FDはどうせBIOS更新の時くらいしか使わないので、その時には外付けすることにし、通常はFDなしで使うことにしました。I/Oカバー省略、FDレスと何か雑な感じですね〜。

前回のS520との構成の比較

今回作ったS500を下から見たところです、電源がマイクロATXのため、ATXを使った場合よりもCPUクーラーに大きな物が使えました。ケースの外の吹き出し口に手をあててみると、CPUファンの風圧を感じますから、きちんと空気が排出されているようです。

下の写真は比較用、前回のS520を下から見たところです。ATX電源を使っているため、CPUクーラーの設置スペースが足りず構造が複雑になってしまうことと、ケース内の排気は電源ファンだけで行われるため、室温が低いと電源ファンがあまり回転せず匡体内の換気不足が起きていた可能性があります。

仕様

まあこの時期にX2を使わないのもあれなんですが...新規に購入したパーツはなく、マザーボードは手持ちのhp d325STに使われているnForce2 IGPを使いました。 シロッコファンも高速回転になると大きな音を出しますが、このマザーはCPUファンの回転数をBIOSから数段階に設定できるので、ファンコンなしに回転数を調節できます。比較的低めの回転数で使えば非常に静か、その状態で温度計で温度を確かめながら現在テスト動作をさせています。また、吸気抵抗を抑えるため、写真にはありませんが吸気ファンも使用しています。 静音化でもう1つ心配していたのが電源ファンですが、今回使ったSeasonic SS200 SFDは、負荷がかかっても幸い静かでした。

  • CPU : Athlon XP 1800+ 51W(max)
  • 電圧 : 1.5V(定格)
  • クロック : 1533MHz(定格)
  • TDP : 51W(max)
  • M/B : hp d325ST nForce2 IGP
  • 電源 : Seasonic SS200 SFD

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  • 更新履歴
  • 作成:2008/01/20